ガブリエル・フォーレは
近代音楽だから
古楽演奏を求めるのは野暮
というようなことを書きました。
(「野暮」とは書いてないけどw)
それでも
古楽テイストを求めてしまうのが
古楽沼にハマった人間の
性[さが]でして
今回のCDを買ったのは
そういう性のためです。(^^ゞ
(ナクソス・ジャパン
NYCX-10496、2024.11.1)
リリース年月日は
タワーレコード・オンラインに
拠りました。
原盤レーベルは
ベルギーのリチェルカール
(RICERCAR)です。
演奏は
ティボー・レナールツ指揮
ナミュール室内合唱団と
ミレニアム・オーケストラ。
録音は
2024年7月14〜15日と
同年同月16〜17日に
行なわれました。
前者は
ベルギーのへーフェルレーにある
イエズス会哲学研究所
後者は、やはりベルギーの
ナミュール・コンサートホールで
録音されたと記載されてますが
おそらくは《レクイエム》のみ
コンサートホールでの録音
ということかと思います。
収録楽曲は
ジャン・ラシーヌの讃歌 作品11
(本盤ではこういう訳題)
祈り
マドリガル 作品35
ヴィレルヴィルの漁師たちのミサ
アヴェ・ヴェルム・コルプス 作品65の1
マリア・マーテル・グラツィエ 作品47の2
タントゥム・エルゴ 作品65の2
レクイエム 作品48(1888年初演版)
で、《レクイエム》1888年版は世界初録音
となっております。
《祈り》と《レクイエム》以外は
前回ご紹介のオールディス盤に
収録されているもの。
《ヴィレルヴィルの漁師たちのミサ》は
アンドレ・メサジェとの共作で
オールディス盤だと
メサジェの部分を取り去った短縮版
(フォーレ作曲部分のみをまとめた
フォーレ自身による再編版)の
《小ミサ》を収録してるんですけど
本盤では元々の形で収録されています。
伴奏楽器は
現代のリード・オルガン
(いわゆる足踏みオルガン)にあたる
ハーモニウム(ハルモニウム)を使用。
こういうところが
古楽沼にハマった人間の
琴線に触れるんですよね。( ̄▽ ̄)
《レクイエム》の1888年版というのは
マドレーヌ教会で教区民のために
1888年に演奏された際のもので
〈オッフェルトリウム〉と
〈リベラ・メ〉は、まだなく
器楽編成は独奏ヴァイオリンの他
ヴィオラ(6)、チェロ(4)
コントラバス(1)、オルガン(1)
ハープ(1)、ティンパニ(1)のみ。
(独奏ヴァイオリン以外の
4人の奏者が violins & violas
と表示されているんですが
この4人は他の曲で
ヴァイオリンに持ち替えている
ということかと思います)
現在、一般的に演奏されるのは
1900年初演の第3稿だそうで
第2稿が演奏・録音されることも
あるそうですが
以前、聴いたことのある
ヘレヴェッヘ盤がそれですね。
本曲の演奏で使われている
パイプ・オルガンは
前回の記事でちょっと触れた
カヴァイエ=コル製造のものだとか
(前回の記事では
「カヴァイレ=コル」と
書いちゃってますけど
ライナー小冊子に掲載されている
中西充弥の解説の表記は上記の通り)
このオルガンの音がいいのはもとより
ハープの音がはっきりくっきりと
ちゃんと聴こえるのが
嬉しい限りです。
1888年は
コナン・ドイルの
シャーロック・ホームズ第1作
『緋色の研究』が
刊行された年と同じ。
(初出は前年の年鑑誌ですけど)
というわけで
ちょっと親近感が
湧いたりするのと同時に
フォーレが近代の音楽家であることを
意識させられたりも
するのでした。
それはともかく
本盤は音の輪郭が
はっきりしていて
曖昧なところがありません。
それについては
オールディス盤も
そうでしたけど
古楽マニアの琴線にふれる点で
一頭地、抜けている感じが
個人的にはするのでした。
おススメの1枚です。