前回の記事でふれた
アントニー・ルーリー指揮
コンソート・オブ・ミュージックによる
クラウディオ・モンテヴェルディの
《マドリガーレ集》第5巻(1605)が
こちらのCDです。
(ポリドール F00L-20380、1989.5.25)
録音は1983年7月に
ロンドンのヘンリー・ウッド・ホールで
行なわれました。
アントニー・ルーリーは
指揮だけでなく
キタローネの演奏も
担当しています。
先の記事にも書いた通り
新宿のディスクユニオンで
見つけたものです。
本盤のタスキ(オビ)は
ステッカーではなく
紙製のキャップ式のものですが
そこに載っている惹句の2行目に
「第5巻は格調高い名序文に始まり」
と書かれていますけど
序文は残念ながら訳されておりません。
その序文というのは
前回の記事でも触れた
音楽家のアルトゥージに対する反論で
第2作法という言葉が
出てくるものです。
前回の記事で
第4巻の序文と書きましたが
第5巻の序文の間違いだったので
前回の記事は巻数だけ
訂正しておきました。
申し訳ありません。m(_ _)m
ライナー小冊子の
今谷和徳の解説によれば
第5巻収録の半数ほどは
当時流行していた牧歌劇
(パストラーレ)の詩に
作詞されたものだとか。
曲名の中に
ミルティルロ、アマリルリ
シルヴィオ、ドリンダ
といった名前が出てきますが
これらは全て
その牧歌劇中の登場人物
ということらしく。
神話などに由来するものなら
まだしも親しみやすかったのに
とか思うのは自分だけかしらん。
本盤収録曲のうち
最初の13曲は無伴奏の
5声部曲になります。
曲によっては
ソプラノが2人になったり
テノールが2人になったりして
それで5声部になるのでした。
後半の残り6曲のうち
最初の5曲はキタローネのみの
伴奏ですけど
最後の6曲目になると
ヴァイオリン2、ヴィオラ2
チェロ2、キタローネ1という
比較的編成の大きい通奏低音が付きます。
この最後の曲は
イントロ風の序曲や間奏もあって
より後の時代の雰囲気に近く
聴き応えがありました。
いずれにせよ
器楽が加わることをもってして
従来のマドリガーレから
バロック様式への変化が見られる
ということが
不協和音とか半音階的進行に比べると
実際に聴けば分かるのがありがたい。
モンテヴェルディが
ルネサンスからバロックへの
架け橋的役割を果たしたということを
素人でも実感できるわけですから。
ケース裏のジャケットには
曲ごとの編成が書かれています。
一部、書かれていない曲があるのは
上に同じということなのかどうか。
こういう中途半端なのは
困りものですけど
サッと確認するのに
便利なことは便利ですね。
なお、ライナー小冊子の
「演奏者について」の中で
1984年にLPとして出た第5巻が
ようやくCDになったといったあとに
次のように書かれています。
これで、先にCD化された《愛のマドリガーレ集》とともに、彼らによるモンテヴェルディのCDの名盤が3枚揃ったことになる。
ここでいわれている
《愛のマドリガーレ集》というのは
《マドリガーレ集》第7巻から
10曲抜粋した盤だったようですね。
そちらも気になりますが
まあ、皆川達夫の
『ルネサンス・バロック名曲名盤100』
(音楽之友社、1992)に
言及されているわけでもないので
いつか出会えればいいかなあ
とか思っているのでした。(^^ゞ