グスタフ・レオンハルトは

1960年代後半に

テルデック・レーベルのシリーズ

《ダス・アルテ・ヴェルク》で

ヘンリー・パーセルを録音しており

LPアルバムを2枚ほど出していますが

そのCD化されたディスクについての

話題の続きです。

 

そのCD化された際の

2枚組がこちら。

 

Henry Purcell: Anthems,

Instrumental Music, Songs.

Purcell: Anthems, Instrumental Music, Songs. 本体&

(独 Teldec: 9031-77608-2、1993)

 

CD1については

前回の記事を

ご覧いただければ幸いです。

 

 

さてCD2ですが

CD2の収録曲は

1967年3月に録音され

同年にリリースされたLP

Consort Music for strings and harpsichord

(弦楽とチェンバロのためのコンソート音楽)

をベースにしています。

 

上記のLPの収録曲は

 序曲 ニ短調 Z.771

 パヴァン 変ロ長調 Z.750

 グラウンド ニ短調 Z.D 222

 序曲と組曲 ト長調 Z.770

 パヴァン イ短調 Z.749

 グラウンド上の3声のファンタジア ニ長調 Z.731

 序曲 ト短調 Z.772

 組曲 第6番 ニ長調 Z.667

 パヴァン ト短調 Z.752

 シフォーチの別れ ニ短調 Z.656

 新しいグラウンド ホ短調 Z.T 682

 4声のソナタ 第3番.イ短調 Z.804

の全12曲。

 

演奏は

Z.D 222、Z.667、Z.656、Z.T 682 が

レオンハルトのチェンバロ独奏で

他はレオンハルト指揮

レオンハルト・コンソートです。

 

レオンハルト・コンソートの

演奏しているものの中に

レオンハルトが

ヴィオラ・ダ・ガンバで

参加しているものも

あるようですけど

どれがどれかは

残念ながら分かりません。

 

 

ちなみに

ZのあとのTは

鍵盤楽器への編曲を示し

Dは疑作であることを

示しているらしく。

 

Z.T 682 は

聖セシリアの祝日のためのオード

《来たれ、歓喜よ》Z.339 の第3曲を

鍵盤用に編曲したもの

ということになるようです。

 

 

CD2には他に

1968年リリースの

Songs of the Baroque Era

(バロック時代の歌曲集)という

マックス・ファン・エグモントのアルバムに

収録されている以下の3曲が

併録されています。

 

曲名は以下の通り。

 

〈速やかに飛び去れ、お前たち、時よ〉Z.369

グロスター公の誕生日のためのオード

《誰か喜ばぬものありや》Z.342 から

〈勇敢なるお父上は〉

マスク劇《アテネのタイモン》Z.632 から

〈引き返せ、謀反者ども、どこへ行くのだ〉

 

ファン・エグモントの歌を

併録しているのは

伴奏を務めたのが

レオンハルト・コンソートだから

だと思われます。

 

 

以前の器楽好きの自分なら

ファン・エグモントの歌は

いらないなあ

と思ったでしょうけど

今の自分が聴くと

ファン・エグモントの声は実にいい

とか思っちゃったり(苦笑)

 

たしかレオンハルト指揮の

バッハの《マタイ受難曲》で

キリストを担当していたかと

記憶していますけど

あの演奏のキリストも

実に良かったことが思い出されます。

 

 

CD2にはあと1曲

1967年3月に録音され

翌年リリースされた

ブリュッヘン・コンソートによる

English Music for Recorders and Consort of Viols

in the 16th and 17th centuries

(リコーダーとヴィオール・コンソートのための

16、17世紀のイギリス音楽)収録の

〈4声のファンタジア〉第7番 Z.741を

併録しています。

 

この

4挺のヴィオールで演奏されている

〈4声のファンタジア〉が

なぜ収録されているのか

つねづね疑問に思っておりました。

 

検索してみたところ

中古盤のジャケ裏が

アップされているのを見つけたので

それで確認してみたんですけど

ブリュッヘン・コンソートのメンバーに

レオンハルトは加わっていません。

 

CD1に収録のコンソート曲では

レオンハルトがヴィオールを

弾いているものもあるようなので

ブリュッヘン・コンソートに

ヴィオールで参加したから

本盤に収録された

ということかもしれないと

想像してみてたんですが

どうも違うようだしなあ……

 

……とか考えてたんですが

外箱のタイトル部分の

以下に記したような

演奏者の並びを

つらつら見ていたら

 

BOWMAN・ROGERS・VAN EGMOND

KING'S COLLEGE CHOR CAMBRIDGE

   LEONHARDT-CONSORT

     BRÜGGEN-CONSORT

 

本盤は別にレオンハルトのディスク

というわけではないのではないか

と気づいた次第です(今ごろw)

 

 

同時期の

ダス・アルテ・ヴェルクの録音から

パーセルを抜き出して集めただけで

たまたまブリュッヘン・コンソートの演奏が

1曲しかなかっただけのことではないか

と思い当たったんですけど

どうもそう考えるのが妥当なようです。

 

だったら

当時のレオンハルトの演奏を集成している

2008年にテルデックからリリースされた

The Gustav Leonhardt Edition ないし

2022年に増補してワーナーから再リリースの

The New Gustav Leonhardt Edition にまで

入れるんじゃねえっ! ヽ(`Д´#)ノ

 

……とか思ったのは

ここだけの話。

 

 

いずれにせよ、この2枚は

レオンハルト演奏の

あるいは指揮などで関わった

パーセルの録音として

よく復刻されたりします。

 

上記した通り

テルデック時代のレオンハルト全集

ともいうべきボックスにも

収められているくらい。

 

さすがにそれはどうか

と思いますけど

それはそれとして

元々のリリース盤から

レオンハルトが関わった

パーセルの曲を集めているため

録音年やリリース年で

悩まされるのが玉に瑕。

 

というわけで今回

収録曲について

腰を据えて調べ始め

備忘も兼ね

いつになく細かく記しました。

 

興味関心のない方には

長々と申し訳なかったですが

ご海容いただければ幸いです。m(_ _)m