以前、マリア・ケオハナの歌う
ヘンデルのカンタータ
《あなたに再びお会いしようとは、おお神よ》
通称《エロとレアンドロ》HWV150を
歌詞対訳付きの
別の演奏家による演奏がある
と書きましたけど
その別の演奏家のものがこちらです。
(キングインターナショナル
KICC-6107、2019.10.19)
リリース年月日は
タワーレコード・オンラインに
拠りました。
原盤レーベルは
和蘭PENTATONEです。
メゾソプラノの
マグダレーナ・コジェナーを
サポートしているのは
ヴァーツラフ・ルクス指揮
コレギウム1704で
録音は2018年9月21〜26日に
プラハの聖アンナ教会にて
行なわれました。
こちらの盤だと
ヘンデルのカンタータは
《なんという再会か、ああ神よ》
と訳されてますが
この訳の方がいいと思います。
短いからいいというだけでなく
《あなたに再びお会いしようとは、おお神よ》
という訳だと
「あなた」=神、というふうに
誤読される余地があるからです。
自分も最初
カンタータの題材を知るまでは
そう思ってました。
それはともかく
コジェナー盤には
ヘンデルのカンタータの他に
ベネデット・マルチェッロの
カンタータ《捨てられたアリアンナ》
フランチェスコ・ガスパリーニの
オラトリオ《アタリア》からのアリア
〈影、苦しみ、疑い〉
レオナルド・レーオのカンタータ
《アンジェリカとメドーロ》が
収められています。
マルチェッロのカンタータは
元から序曲がついてますが
他の歌曲にはついてません。
そこで
ガスパリーにのアリアと
レーオのカンタータをセットにして
その前にレオナルド・ヴィンチの
歌劇かオラトリオか分かりませんけど
《悲しみの聖母マリア》の序曲を置き
ヘンデルのカンタータには
同じヘンデルの歌劇
《アグリッピア》HWV6 の序曲が
演奏されています。
こちらは確か
新譜を買ったのだと思いますが
なぜ買ったのかといえば
おそらくベネデット・マルチェッロの
歌劇作品が入っているからでしょう。
ベネデット・マルチェッロの声楽作品は
なかなか録音が見当たらないので
勇んで買ったのだと思いますが
買った時すぐに聴いたかどうか
記憶になく。(^^;ゞ
もしかしたら
今回が初視聴かもしれません。( ̄▽ ̄)
マグダレーナ・コジェナーは
クラシック・ファンに
よく知られている
チェコスロヴァキア出身の
メゾソプラノ歌手で
Wikipedia にも立項されています。
Wikipedia の作品リストを見ると
デビュー盤? がシャルパンティアで
続いてバッハのアリア集を出していて
以後もバロック音楽は割と多いんですけど
自分がバロック歌曲にハマったのが
最近のことでもあり
手元には、ほとんどありません。
ヴィヴァルディのアリア集とか
こちらのアンテナに引っかかっても
いいはずなんですけど
ヴィヴァルディのアリア集
持ってたかなあ。
今回のディスクのタイトル
《ため息の庭》というのは
裏切られたり、恋人と離別したり
といった経験をした女たちの
哀惜の情を題材とした歌を
収めていることに
由来するものと思われます。
アリアンナは
モンテヴェルディ作曲の
アリアのヒロインとして有名で
当ブログでも以前一度
紹介したことがあります。
《アタリア》のタイトルロールは
ユダヤ王国唯一の女王
アタルヤのようです。
原盤ライナーの解説によれば
「旧約聖書中でも特に暴力的な狂人を
主人公に据えて」(岩橋宣輔訳)
いるそうですが
どんな話なのか
ちょっと興味をそそりますね。
《アンジェリカとメドーロ》は
アリオストの叙事詩
『狂えるオルランド』の
一挿話に基づいていて
ルーベンスの《アンジェリカと隠士》他
多くの絵画の題材にも
なっているようです。
レーオの曲は
逃亡中の恋人同士を描くので
この曲ばかりは、愛のため息であり
哀惜の情とはいえませんけどね。
なお、コジェナーの歌う
《なんという再会か、ああ神よ》は
YouTube にアップされてましたので
以下に貼り付けておきます。
念のため、アドレスはこちら。
YouTube の静止画像は
ニコラ・レニエという
フランドル生まれで
イタリアで活躍した人の
作品のようですが
エロが赤っぽい服を着ているのに
目がとまりました。
先の記事でご案内の
というブログに載っていた
ドメニコ・フェッティの絵でも
入水するエロの服は赤です。
というわけで
以前、当ブログに貼り付けた
マリア・ケオハネが歌う
ヘンデルのアリア
ケオハネが赤い衣装を着ているのは
エロを描く際の約束事を
踏まえたものではないか
と思い至った次第です。
ということはつまり
このアリアを歌ったライブでは
ヘンデルのカンタータ
《なんという再会か、ああ神よ》を
歌った可能性がある
と考えるわけです。
この推測が当たってるとすると
ケオハネのCDに収録された
ヘンデルのカンタータが歌われたのは
2010年9月5日かその翌日
ということに
なるんですけどねえ。
単なる想像に過ぎませんけど。