以前、エリー・アメリングの歌う
バッハの世俗カンタータ
《悲しみを知らぬ者》BWV209 を
紹介した際に
同曲のチェンバロを
グスタフ・レオンハルトが
演奏していることを知って
びっくりしたと
以前、書いたことがあります。
その際
BWV209の録音史を確認したら
レオンハルトが絡んでいる
同曲の録音が
もうひとつあることを
知りました。
それが今回の盤ですが
こちらBWV209だけでなく
教会カンタータ第51番
《全地よ、神にむかいて歓呼せよ》BWV51と
世俗カンタータ
《しりぞけ、もの悲しき影》BWV202
通称〈結婚カンタータ〉との
カップリングで
その2曲もレオンハルト絡みという
レオンハルト・ファンにとって
またソプラノ・カンタータ・ファンにとっては
超驚き、超お得な1枚なのです。
(Teldec Classic International
3984-21711-2、1998.3.19)
リリース年月日は
タワーレコード・オンラインに
よります。
ケースに貼ってあるシール類は
以前の所有者が買った時に
シュリンクに貼ってあったものを
ケースに貼り替えたものでしょう。
シールのないジャケも
アップしておきます。
こちらのディスク
とっくのとうに廃盤でして
今回は Amazon に
吉祥寺だったかの
ディスクユニオンから
出品されていたのを
見つけることができた次第です。
もともとのLP盤だと
BWV51とBWV202が
カップリングになっていて
こちらの器楽演奏は
アムステルダム合奏団です。
そちらのジャケットは
今回のCDの受け皿の下の
裏ジャケのその裏に
載っています。
BWV209は
別のLPから採られたもので
そちらはレオンハルト・コンソートが
器楽演奏を担当しています。
レオンハルト・コンソートは
もちろんレオンハルト創設で
アムステルダム合奏団の方は
ヤープ・シュレーダーが創設。
両方とも
旧テレフンケンの録音では
しばしば見られる名前です。
アムステルダム合奏団の方は
てっきりモダン楽器での演奏かと
思ってたんですが
英語版 Wikipedia を見てみたら
どうも微妙なようですね。
当初は
歴史的な情報に基づくことを
標榜しながらも
モダン楽器での演奏でしたが
1960年代後半に
古楽器による演奏へと
軸足を移したそうです。
今回の盤は1966年の録音なので
モダン楽器か古楽器かは
微妙なところですけど
すぐあとに記す通り
トランペット奏者が
モーリス・アンドレですから
モダンでの演奏かと思われます。
BWV51のトランペットは
上にも書いた通り
エリー・アメリングが
1969年に録音した盤と同様
モーリス・アンドレが担当。
その他
ヴァイオリンが
ヤープ・シュレーダーと
ジャック・ホルトマン。
通奏低音は
チェロがアンナー・ビルスマ
ポジティフ・オルガンを
レオンハルトが担当。
録音は1966年1月17〜21日。
BWV202は
オーボエがアド・マーテル
ヴァイオリンがヤープ・シュレーダーで
通奏低音はBWV51と同じですが
レオンハルトはチェンバロを
弾いています。
録音はBWV51と同じ。
BWV209の録音は
1964年2月8〜9日で
LP盤の時のカップリングは
バス独唱カンターとしても知られる
歌詞がイタリア語による世俗カンタータの
《裏切り者なる愛よ》BWV203でした。
つまり元盤は
2曲だけ残されている
イタリア語によるカンタータをまとめた
イタリアン・カンタータ集というわけ。
BWV209の編成は
フルートはフランス・ヴェスター
アントネッテ・ファン・デン・ホンブルグと
マリー・レオンハルトのヴァイオリン
ヴィム・テン・ハーヴのヴィオラ
ダイク・コスターのチェロ
レオンハルトのチェンバロで
チェンバロはスコヴロネックによるコピー
とのことです。
以上の
録音年月日や編成や構成は
CDのライナーに
詳しく載っているわけではなく
参照しました。
同サイトでは
オリジナルのLP盤ライナーを基に
情報をアップしているので
CD化された際のライナーが
当てにならない時に
重宝します。
歴代の録音が
YouTube のみのものも含め
全てデータとして載っているので
バッハのカンタータ・ファンには
超おすすめ、必見のサイトです。
で、本盤の演奏ですが
さすがにもう古びたとしか
いいようがないものです。
アグネス・ギーベルは
オランダ出身ですが
国籍はドイツのソプラノ歌手で
アメリングに比べると
パワーという点で
今ひとつな感じがします。
マイクから離れて
歌っているかのようで
残響が感じられるのですが
そういうのもちょっと
印象を悪くしてますね。
Bach Cantatas Website の
バイオグラフィーによると
オペラ出演のオファーは断り
コンサート歌手として
活動し続けたようです。
オットー・クレンペラー指揮の
ロ短調ミサ曲にも
参加しているようですが
クレンペラー盤
聴いたことあるはずなのに
それは気づきませんでした。
器楽の演奏も
全体的にテンポが遅く
きびきびとした演奏に
慣れてしまった耳には
ちょっと辛いかなあ。
とはいえ
演奏全体としては
聴くに耐えない
というほどでもなく。
古い録音を聴くのが好きな方や
お気に入りのアーティストの
ファンという人以外には
おすすめできませんけど
一度は針を落としてみても
(うーん、古い表現だw)
いいかなという感じでした。
レオンハルト推しの自分であれば
もちろん持っておかねばならない
1枚なんですが
BWV209のカップリングBWV203も
同じメンバーによる演奏と知り
頭を抱えています。
BWV203の演奏を
YouTube で
いくつか聴いてみたんですが
あまり惹かれるところがなく。
(何度も聴いていれば
耳に馴染むのか……)
でも、
演奏はバスとチェンバロのみの
チェンバロが大活躍する曲で
(バッハ財団版にはチェロも加わります)
そうなるとレオンハルト推しは
必聴必携になるではないか
と悩ましい限り。
Bach Cantatas Website が
YouTube にアップされた音源に
リンクを張ってまして
これを聴いたら
レオンハルトのチェンバロの
懐かしくも雅びな響きが確認でき
ぜひとも手元におきたいと
ますます思った次第です。
CD化されてはいますが
調べてみた限りでは
Bach 2000 という
ボックスの大全集にしか
入ってないんですよね(遠い目)