以前ご紹介

ミリアム・フォイアージンガーが歌う

《コーヒー・カンタータ》は

まあ、クラシックの演奏として

一般的というか微温的というか

こぎれいな感じに

まとまったものでした。

 

それに比べると

かなりぶっ飛んでいるというか

以前ご紹介したことのある

ベルリン国立オペラ座の演出

現代的にリューアルしたもの

という印象を受けるのが

今回ご紹介の映像です。

 

 

収録は

2019年5月17日に

オランダのラジオ・クートヴァイク

というところで行われました。

 

映像の冒頭で映るのが

ラジオ・クートヴァイクの施設趾で

リンクを貼った英語版 Wikipedhia を

Safari で翻訳してから

さっと読んだ限りでは

以前は無線中継所だったようですね。

 

歌い手は

ソプラノがルーシー・シャルタン

バスがマティス・ファン・デ・ウエルド

テノールがヤン-ウィレム・シャーフスマ。

 

器楽演奏は

ヴァイオリニストの佐藤俊介が指揮する

オランダ・バッハ協会の

バロック管弦楽団のメンバーです。

 

ファン・デ・ウエルドと

シャーフスマは

ともにオランダの音楽家なので

オランダ・バッハ協会合唱団の

メンバーかも知れません。

 

ルーシー・シャルタンは

Bach Cantatas の紹介によれば

フランス生まれのソプラノ歌手で

若いアーティストに活躍の場を与える

ヤング・バッハ・フェローシップに選ばれ

オランダ・バッハ協会の

サポートを受けているようです。

 

今回の演出は

オランダ生まれの

バス・バリトン歌手で

ヴィジュアル・アーティストでもある

マルク・パンタスという人。

 

 

オープニングで

管弦楽団が弾いているのは

YouTube の

「もっと見る」の解説を見ると

G・F・テレマンが作曲した

《6つの組曲風の新しい四重奏曲集》

通称《パリ四重曲集》第6番の

第5曲〈うわのそら〉Distrait

という曲だそうです。

 

おそらく

コーヒーを飲んで

放心状態になっている

リースヒェンを

暗示しているんでしょう。

 

 

以下、演出について

いわゆるネタバレ気味の

記述になるので

気になる方は

ぜひ、映像を観てから

読まれることを

お勧めします。

 

 

テレマンの〈うわのそら〉に乗せて

歌い手たちが舞台を整えてから

音合わせをしている管弦楽団を遮り

珈琲店のマスター? に扮したテノールが

レチタティーヴォを歌い始めます。

 

テノールがリースヒェンの目の前に

メニューを置いてからのち

いかにも現代娘という装いの

リースヒェンのぶっ飛んだ芝居には

目を奪われっぱなしでした。

 

見た目は

ちょっと可愛らしい小娘(失礼!)

なんですが

曲が進むにつれてどんどん

変態度が増していって

コーヒー中毒というより

ヤバい薬でもやってそうな感じです。

 

父親が結婚相手を探しに行くと

まとめていた髪をほどき

マスターを誘惑せんばかりの

絡みへと展開していきます。

 

スーブレット風

とは言い難いにしても

性的なくすぐりは充分で

故・礒山雅にこれを見せて

感想を聞きたい

と思っちゃいました。

 

 

バス演じる父親の振る舞い

特に娘のトートバッグを探るあたり

あるあるな感じではありますが

現代の若者からは

ちょっと引かれちゃいそうですね。

 

そこから男性のヌード写真が載った

雑誌を引っ張り出すあたりも

やりすぎのような気が

しないでもなく。

 

観客も笑うに笑えず

反応に困ってるのではないか

と想像するのも一興。( ̄▽ ̄)

 

 

テノールも

ルドルフ・ルッツ指揮の演奏とは違い

ただ座っているわけではありません。

 

リースヒェンの注文を待っている間

死んだような目をして立っていたり

コーヒーポットを割られて落ち込んだりと

語り手以外でも黙役として

見事な芝居? を見せてくれます。

 

 

芝居の流れを観ていたら

やはりソプラノのリースヒェンと

語り手のテノールがいい感じになる

ベルリン国立オペラ座の舞台が

思い出されてきました。

 

オランダ・バッハ財団版の

コーヒー・カンタータは

インテルメッツォ風

それもかなり現代的なものを

狙っている気がします。

 

それにしても

ソプラノとテノールがくっつく

という伝統的な路線か何か

あるんでしょうかね。

 

 

それはそれとして

これを観れば

ルーシー・シャルタンの

虜になること請け合い。

 

映像を見つけてから

何度も何度も

観返しています。(^^ゞ

 

こんなに楽しいコーヒー・カンタータは

滅多にあるもんじゃありません。

 

超おすすめの一本です。(> <)b