バッハの世俗カンタータ
《お静かに、おしゃべりはせずに》BWV211
通称〈コーヒー・カンタータ〉については
以前、エリー・アメリングの録音で
初めて聴いたという話をした際
簡単に内容にふれています。
歌うのは
父親のシュレンドリアン
(「昔気質」の意)を歌うバスと
コーヒー好きのその娘
リースヒェンを歌うソプラノ、
冒頭と最後の語りと
オーラスの三重唱に加わる
テノールの3人。
その3人で演じられる
「音楽による劇
[ドラマ・ペル・ムジカ]」で
バッハのカンタータの中では
いちばん知られていて
親しまれているのではないか
と思われます。
以前の記事では
「オペラ・ブッファのような1曲」
と書きましたけど
ちょうどイタリアで
ペルゴレージのインテルメッツォ
すなわち幕間劇の
《奥様になった女中》が
話題になっていた頃でもあります。
たまたまYouTubeで
本曲の演奏の映像を探していたら
まさにインテルメッツォのような
あるいは
オペラ・ブッファのような演出の
映像がヒットしました。
それがこちら。
歌い手は
語り(テノール)がテオ・アダム
父親(バス)がハンス=マルティン・ナウ
娘(ソプラノ)がカロラ・ノセック。
オーケストラの指揮は
なんと、以前ご案内の
歌っているだけでなく
指揮もこなしている
ペーター・シュライアーでした。
オーケストラの名前は分かりません。
1978年に
ベルリンにある
国立のオペラ座の
アポロ・ホールで行なわれた
公演の映像だそうですから
オペラ座所属の楽団員でしょうか。
これは
舞台装置から演出から
まさにオペラ・ブッファのノリで
珍しさと奇妙さと
両方合わせ持つ
珍なる哉! としか
いいようのない舞台でした。
贅言は費やしません。
映像も音質も
お世辞にもクリアとはいえませんが
とにかく観てみて
その珍奇な舞台演出を
ご堪能ください。