本日は雨の中
喘息の定期診察のため
かかりつけのクリニックに
行ってきました。
その帰り、駅に行く途中
歩道からちょっと入ったところで
咲いているのを見かけたのが
こちら。
ハナノナで調べましたが
何度も違う名前に
表示が変わりますので
ちょっと信頼できず
ハナノナでの撮影は諦めました。
帰宅後に
「おさんぽ花ずかん」で
今月の白い花を見たんですけど
茎頂に円錐花序を作るというあたり
いちばん雰囲気が似ていたのが
フロックスでした。
ですが
円錐花序の写真だけでは
判断がつかず
とりあえず「フロックス」で
検索してみたところ
トップに出た画像のうち
「植物写真鑑」という
サイトの写真が雰囲気が近く
そちらのサイトを見てみたら
どんぴしゃりだったため
同定できた次第です。
名称のフロックス・パニクラタ
(パニキュラータ)は
学名 Phlox paniculata を
そのままカタカナ読みしたもの。
「もの知り雑学辞典 ミニダス」によれば
フロックスというのは
ギリシャ語で「炎」を意味し
パニキュラータは「円錐形の花」
という意味だそうです。
和名として
草夾竹桃[クサキョウチクトウ]
花魁草[オイランソウ]があり
手元にある岩槻秀明の
(新星出版社、2023)では
草夾竹桃が見出語でしたけど
ここでは風情の感じられる花魁草を
タイトルに採用しました。
花魁草という名前の由来は
華やかに花が咲く様子を
花魁の姿、ないし
花魁のさす簪に見立てたのと
(後者は花山多佳子の文章に拠ります)
夕方に強く香ることに
よるのだそうですが
今回は雨の中だったので
香りはもとより確認できず。
花の方も
満開ではなかったので
華やかさには欠けますが
雨で濡れ髪の花魁
というイメージでどうでしょう。
花荵[ハナシノブ]科
という科名にも
ぴったりのような気がしますし。
(男性的視点すぎて
花山多佳子氏には
申し訳ないんですけど)
なにより
北原白秋の詠んだ
「わがゆめはおいらん草の香のごとし
雨ふれば濡れ風吹けばちる」
(『桐の花』東雲堂書店、1913)に
状況がぴったりですしね。
こちらではお馴染み
「季節の花300」も
花魁草を見出語として
採用していることに
記事を書き終わってから
気づいたことでもあり。
ちなみに白秋には
「この秋は おいらんさうの みな白し」
という俳句もあるようです。
今は秋じゃないですけど
これもぴったり。
花魁草の英名として
Summer phlox
Fall phlox
Perennial phlox などが
あるそうですけど
このうち perennial は
手元の辞書によれば
「多年生の、宿根性の」
という意味だと載ってます。
上掲『新 散歩の花図鑑』で
別名としてあがっている
「宿根フロックス」は
Perennial phlox を
直訳したものですね。
宿根[しゅっこん]というのは
冬や乾燥期など
外部の環境が適切でない時に
地上部が枯れていても
地下部が生きていて
環境が良くなれば
また開花・発芽する草花のこと。
Fall は
花がこぼれ落ちるように咲く
という見た目から
きたものかと思います。
原産地は北アメリカで
英名に summer とありますが
白秋の俳句に「秋」とあるように
花期は6〜10月ごろと
かなり長い。
「植物写真鑑」に
花冠筒部[かかんとうぶ]が長く
先が5裂するという説明が
ありますけど
今回見かけたものは
雨に濡れているためか
曇っているためか
撮ってきた写真だと
そこらへんがはっきりせず
ちょっと残念。
まだ蕾が多く
今度は満開の時に
見てみたいものですね。
通院の時を除けば
普段の動線ではないため
満開の時に出くわせるかどうか
微妙ではありますけど。