前回の

灰の木が植えられている

寮のような建物の

歩道に面した狭い庭のスペースに

こんな花の木もありました。

 

大手毬(2024.4.20)

(2024年4月20日撮影。以下、緑の花の写真は同じ)

 

幹に下のような樹名板が

かけてありましたけど

 

誤った樹名板

 

   Viburnum plicatum var. tomentosum

       ヤ  ブ  デ  マ  リ

        日本 台湾 中国

      ガマズミ科(旧 スイカズラ科 )

 

そうは問屋が卸さなかったという。( ̄▽ ̄)

 

 

樹木図鑑 植木ぺディアで

藪手毬を見てみると

雰囲気が違います。

 

藪手毬の方は

萼紫陽花[ガクアジサイ]

のような感じで

集まった花の形が

丸くなっていません。

 

 

色が緑色というのも

違うんですけど

約1週間後に

同じ場所を通りかかったら

見事に白くなってました。

 

大手毬(2024.4.28)

(2024年4月28日撮影。以下、白花の写真は同じ)

 

そこで

いろいろ検索してみて

大手毬[オオデマリ]であると

分かった次第です。

 

 

樹名板が間違ってるって

どういうことよ!

とか思っていたら

Wikipedia で分類欄を見ると

属名が Viburnum

種小名がヤブデマリ

V. plicatum var. tomentosum

と書かれていました。

 

これだけを見ると

「ヤブデマリ」だ

と思っちゃいますが

大手毬はその変種で

学名は

Viburnum plicatum

var. plicatum f. plicatum

と表記します。

 

「var.」は variety の省略で

var. 以下は「変種」を意味し

「f.」は from の省略で

f. 以下は「品種」を表すそうです。

 

ですから学名は

「藪手毬の変種かつ品種」

という意味になるのかしらん。

 

 

赤塚植物園の記事

「植物に親しむ」の

大手毬の項目によれば

Viburnum はガマズミを意味し

plicatum は

「ひだ(プリーツ)のある」

という意味だそうで

後者は葉の表面の凸凹を

踏まえてのものだそうです。

 

ちなみに

「かぎけん花図鑑」で

薮手毬の項目を見ると

大手毬は

藪手毬の変種である

毛無藪手毬[ケナシヤブデマリ]

(学名は Viburnum plicatum

var. plicatum f. glabrum)の

栽培種だと書かれていました。

 

そして

同じく「かぎけん花図鑑」の

大手毬の項目には

plicatum はラテン語で

「副花冠のある」という意味だ

と書かれています。

 

どちらが正しいのか

どちらも正しいのか……。

 

学名を

「藪手毬の副花冠の変種で副花冠の品種」

と解釈する方が

腑に落ちる感じがしますので

「かぎけん花図鑑」に

軍配をあげたい気がしますけどね。

 

 

Wikipedia には

大手毬は藪手毬の園芸品種ですから

藪手毬が基本種になりますけど

学名上は大手毬の方が

基本種扱いされている

と書かれています。

 

が、いろいろ検索してみた今では

Wikipedia の上記の記述も

どうやら疑わしい気が

してきました。

 

 

科名はレンプクソウ科で

古い体系ではガマズミ科

それより以前の体系では

スイカズラ科のようです。

 

ですから

今回のような樹名板に

全て書くとすれば

「レンプクソウ科

 (旧 ガマズミ科、

  旧々 スイカズラ科)」

とでもなりましょうか(笑)

 

大手毬の白花1(2024.4.28)

 

大手毬の

白い花のように見えるのは

花弁だか萼片だかが変化した

「装飾花」だそうです。

 

樹木図鑑 植木ぺディアによれば

(ちょっと説明の日本語が

 分かりにくいんですけど)

装飾花は全て中性花で

雄蕊や雌蕊は退化していて

果実もならないようです。

 

かぎけん花図鑑」には

「ヤブテマリの両性花の

雌蕊と雄蕊を退化させ」たと

書いてありました。

 

人間があえて退化させたわけで

これはちょっとひどいんじゃない

とか思ったり。

 

園芸の世界では

当たり前のことなのかも

しれませんけど。

 

 

花期は4〜6月で

咲き始めは淡い緑色を帯び

咲き進むと純白になる

という特徴は、今回のに

ぴったり当てはまります。

 

藪手毬の花期は5〜6月と

少し遅いのでした。

 

 

大手毬の

和名の別名には

手毬花[テマリバナ、テマリカ]

というのがあります。

 

英名は Japanese snowball といい

いずれも花の形状を踏まえたもの

と思われますが

「かぎけん花図鑑」によれば

英名で Snow ball という場合

手毬灌木[テマリカンボク]を指すそうで

そうなると Japanese snowball は

「日本産の手毬灌木」

という意味合いになりそうですね。

 

 

いろいろ書いてきましたけど

いずれにせよ

寮のようなところの

歩道脇の花壇の樹名板が

間違っていることだけは

確かだと思われます。

 

樹名板があるので

簡単に記事が書ける

と思っていたのに

思わぬ誤算でした。

 

こういうことって

あるんですねえ。

 

まあ、自分としては

花の色が緑から

 

大手毬の緑花(2024.4.20)

 

白へと変化するのが

 

大手毬の白花2(2024.4.28)

 

観察できただけで満足です。