デザンドレ et ダンフォード《イディル》

(Warner Classics/Erato:

 5419.775146、2023.10.20)

 

リリース年月日は

タワーレコード・オンラインに

拠りました。

 

ディスクの製造そのものは

ドイツで行われたらしく

manufactured and printed in Germany

と書かれています。

 

Warner Classics/Erato は release 元で

マルPおよびマルCは

Parlophone Records になっています。

 

さらに日本への輸入元は

ワーナーミュージック・ジャパンで

もはや昔日のように

「仏 Erato」と書いておけば

それで済むというわけにはいかず

悩ましい限りです。

 

録音はスイスで

2023年5月2〜6日に

行われたという

まさにグローバル時代を

象徴するような印象ですね。

 

 

まあ、それはそれとして

本盤はレア・デザンドレが

古楽アンサンブル、ジュピテールを率いる

トマス・ダンフォードの

アーチリュートによる伴奏のみで

シャルパンティエから

フランソワーズ・アルディに及ぶ

恋愛をテーマとした曲を歌う

ディスクです。

 

日本語解説によりますと

だいたい三つの時代から

歌曲が採用されているそうです。

 

ミシェル・ランベール

セバスティアン・ル・カミュ

シャルパンティエ

オノール・ダンブリュイらの

エール・ド・クール期の歌曲。

(エール・ド・クールについては

 リンク先の Wikipedia の説明を

 参照ください)

 

オッフェンバック

ドビュッシー

アンドレ・メサジェ

レイナード・アーンらの

ベル・エポック時代の歌曲。

 

そして

シャンソンないしポップスから

バルバラとアルディ。

 

それらの歌曲の合間に

ロベール・ド・ヴィゼーや

サティの器楽曲が

アーチリュート・ソロで演奏される

というプログラム。

 

 

以前から

エール・ド・クールの歌曲をひっさげて

各国でコンサートを行なっていたようで

今回の盤はそれに

他の時代の歌曲を組み合わせ

フランス音楽の魅力を伝えよう

という趣旨の盤らしく。

 

タイトルの《イディル》Idylle は

「(1) 田園恋愛詩[田園を舞台として

 牧人たちの恋を歌った小詩編]

 (2) 純情な恋愛」

と手元の辞書に載ってますが

田園を舞台としている曲ばかり

というわけでもないので

牧歌的な(素朴な)恋愛曲

という程度の意味かと思います。

 

 

以前の自分なら

エール・ド・クール期の歌曲だけで

まとめてくれよ

と思ったでしょうけど

本盤はデザンドレの歌を

アーチリュートの伴奏で楽しむ

というものだろうと思い

素直に聴けました。

 

個人的には特に

バルバラとアルディという

いわばポピュラーソングを

クラシック歌いのデザンドレが

どう歌いこなし

ダンフォードがどう伴奏するのか

というのが興味津々だったり。

 

フランソワーズ・アルディの

「恋の季節(愛の時間)」は

以前、当ブログでも

変則的な形で

取り上げたことがありますが

(いつのまにか映像がブロックされて

 観られなくなってて、がっかり)

アルディの歌曲は他に

「一日の最初のしあわせ」

Le premier bonheur du jour

が歌われています。

 

バルバラは

「ねえ、いつ戻ってくるの?」

Dis, quand reviendras-tu?

という初期代表作のひとつが

歌われています。

 

 

アルディの

「一日の最初のしあわせ」は

手元のベスト盤に収録されておらず

聴き比べるために

収録されている盤を

改めて中古で買いました。

 

バルバラについては

CDを1枚も持っておらず

聴いたことがなかったので

いい機会だと思い

これまた収録されている盤を

中古で購入した次第です。

 

両方とも届いているので

これから聴き比べるのが楽しみ。

 

 

その他

エール・ド・クールの歌曲を

それと意識して聴くのは

たぶん初めてで

やはり宗教曲を聴き慣れた

シャルパンティエが

いちばん興味深く聴けました。

 

ドビュッシーは

歌劇《ペレアスとメリザンド》

第3幕からのアリアが歌われていて

ほとんど伴奏がなく

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが

歌うよりも語るという感じなので

バルバラと並んでいても

違和感はありません。

 

 

エール・ド・クールの歌曲は有節歌曲で

2節目以降は同じ節の繰り返しというより

歌い手が自分の技巧を誇るために

装飾をつける場合が多く

アルディのポップス曲などと並ぶと

ポップスの方がかえって地味

ということになりかねず。

 

もっとも

ここに収録されたアルディの2曲は

どちらも地味というか

「恋の季節」がかろうじて

ポップさを感じさせる程度なので

曲負けしてしまうのも無理ないか

と思っちゃいますけどね。

 

それでいて

ドビュッシーが

エール・ド・クールの歌曲に

位負けしていない感じがするのは

さすが、というところでしょうか。

 

 

アルディの「恋の季節」は

ダンフォードのサブコーラスや

アーチリュートの胴を叩いての(だと思う)

パーカッションも入って面白く

ちょっと映像で観てみたい感じ。

 

バルバラを歌う

プロモ映像はありますが

アルディを歌う映像は

なさそうです。

 

権利関係などの

大人の事情でしょうか。( ̄▽ ̄)

 

せっかくなので

バルバラの曲を歌うプロモ映像の

アドレスを貼り付けておきます。

 

 

ブログ上に直接

貼り付けられないようなので。

 

 

ジャケ表では

恋人同士のような

ムーディーな演出ですが

ジャケ裏を見ると

これこの通り。

 

デザンドレ et ダンフォード《イディル》ジャケ裏

 

こういうお茶目な感じが

演奏者の若さを象徴していて

微笑ましくなるのは

自分も馬鈴を重ねたから

でしょうかねー。( ̄▽ ̄)