昨年、同じ著者の
『音盤紀行』を読み
面白かったので
新宿校での採点の帰りに
紀伊国屋書店に寄って
買ってきた2冊がこちら。
(KADOKAWA 青騎士コミックス
左:A面、2023.1.20
右:B面、2023.2.20)
『音盤紀行』同様
青騎士のロゴ以外に
エンターブレインのロゴも
表示されているのは
Wikipedia によれば
雑誌『青騎士』が
エンターブレイン・ブランドの
雑誌だからのようです。
奥付には編集が
あすか・青騎士編集部
となっていますけどね。
判型は
話の内容に合わせて
7インチシングルレコード
いわゆるドーナツ盤と
同じサイズになっているのが
ちょっと珍しい。
こういうのも
46変型[しろく へんけい]
というんでしょうか。
高架線下に店舗を構える
中古レコード屋
テレスコープ・レコードの
アルバイト店員で
画学生(?)の三枝実梨
[さえぐさ・みのり]を
主人公に据えた連作です。
画学生という設定ですけど
まあ、ほぼレコードマニアでして
地方にある倉庫のような
中古レコード店に入ると
ワクワクしてしまうし
中古レコードや中古CDの
ショップを見かけたら
覗いてみたくなるという性格。
主人公が好きなジャンルは
洋楽系のロックやポップスのようで
主にクラシックを漁る当方と
趣味が異なるわけですけど
中古レコード屋の雰囲気や
中古レコードを前にしたとき
買うときの心性が
分かる分かると思ったり
ニヤニヤさせられたりして
非常に当方の趣味と合うのですね。
ディスクユニオンならぬ
ディスクオニオンの
まとめ買いセールを
ネタにしたエピソード
「まとめ買いの見えないルール」
(A面収録)には
分かる分かると
一人で湧いてしまいました。(^^ゞ
実梨の高校時代のエピソードを描く
「GET BACK」(A面収録)には
ディスクオニオンに加え
タワーレコードらしき店舗風景も
ちらっと出てきます。
「休日のふたり」
(B面収録)に出てくる
中古CDショップは
あとがきによれば
実際にあった店をモデルに
しているそうですけど
(その後、閉店したとのこと)
同エピソードの冒頭で
実梨が絶版の画集を見つけた古本屋も
神保町に実際にある店を
踏まえたものと思われます。
(おそらく源喜堂書店でしょう)
地方にある
倉庫のような
中古レコード店を訪ねた際に
怪奇現象に遭遇するという
前・中・後編のエピソード
「音霊レコード」(B面収録)は
『音盤紀行』にも見られたテイストで
長編ということもあって
読み応えがありました。
それでも、基本的に
『音盤紀行』に比べると
日常に寄り添っている話が多く
(マニアの日常かもしれませんけどw)
それもあって
こちらのシリーズの方が
個人的には好みだったりします。
主人公が統一されているのも
親しみがわいて
いいですね。
作者あとがきによれば
本シリーズはもともと
同人即売会で
発表していた作品らしく
(初出は2016年から2020年)
それが今回、2冊に
まとめられたものだとか。
発表が4年にわたるため
絵柄の変化などもあり
単行本化するにあたっては
手を入れているようですけどね。
絵に癖があるので
合わない人もいるかと思いますが
中古レコードやCDに
興味のある方には
オススメの2冊です。