先に当ブログで

ペルゴレージ作とされながら

疑作とされている劇作品として

《音楽の先生》

取り上げました。

 

ペルゴレージの劇作品で

疑作・偽作とされていながら

録音されている作品は

もう1曲ありまして

それが今回ご案内の

《悋気[りんき]は損気[そんき]》です。

 

ペルゴレージ《悋気は損気》

(独 Arte Nova: 74321 84432 2、2001.4.27)

 

原題は Il geloso schernito

タワーレコード オンラインの作品紹介では

《ばかに嫉妬深い男》と訳されてますが

永竹由幸『オペラ名曲百科(上)』だと

《悋気は損気》となっており

ここではそちらに拠ることにしました。

 

同じくタワレコ オンラインでは

「ピエトロ・リアリーニ作とも

いわれています」と書かれてますが

指揮者ヴィルヘルム・ケイテル執筆の

本盤のライナーを見ると

ガルッピの名もあがっていて

3人による共作という学説もあるようです。

 

ちなみに永竹の本では

疑作ともなんとも

書かれていませんでした。

 

 

あらすじを

永竹の本に従って

紹介しておくと

以下の通り。

 

嫉妬深い夫が

妻の貞節を確かめようと考え

旅に出るふりをし

他国者の変装をして戻ってきて

妻を口説きにかかる。

 

妻の方では

夫の変装を見破り

夫をからかい、家を出る。

 

続いて

妻が若い男に変装し

妻を(自分を)口説くそぶりを見せると

夫が激昂して決闘を挑むも

逆に打ち負かされてしまう。

 

妻を渡すかこのまま死ぬか

と要求され

妻を渡すことを告げる。

 

そこで妻が変装を解き

反省した夫が

自刃しようとするのを見て

夫を許す

というお話だそうです。

 

 

変装というのは

オペラによく出てくる趣向で

そういう意味ではよくある話

という感じがします。

 

ただ、指揮者のケイテル自身が

「ほとんど信憑性がなく

 すべてが想像の産物だ!」

とライナーで書くのは

いかがなものかと思ったり。

 

まあ、それは

バッハを評するように

本作品を評しないでくれ

という意味を込めた

反語かもしれませんけど。

 

 

演奏は

妻ドリーナ(ソプラノ)

キャロライン・オダーマット

夫マザッコ(バス)

クリスティアン・チェレビエフ

朗読者 Narratore

エツィオ・マリア・ティシ。

 

上の配役からも分かる通り

《悋気は損気》も

《音楽の先生》と同様

チェンバロ伴奏付きの

レチタティーヴォではなく

朗読者が語るスタイルを

とっているのでした。

 

例によって演奏譜については

ライナーのどこにも

書かれていないようですので

どうしてそうなのか

詳細は分かりません。

 

 

器楽演奏は

ヨーロピアン・フェスティヴァル管弦楽団。

 

録音は2000年6月2〜3日に

プットバスのジャイヒにある

シップホール Schiffshalle で

行われました。

 

 

同時収録の《オルフェオ》は

1736年に刊行された

《4つの室内カンタータ 作品2》

からのソプラノ独唱曲で

これは真正なペルゴレージ作品。

 

毒蛇に噛まれて

死んだ妻を歌ったもの

だと思いますけど

4つのカンタータの中でも

割と録音されることが多いのは

題材が有名だからでしょうか。

 

 

手元にも2種類ほど

《オルフェオ》を収録した盤が

あります。

 

ただ

相変わらず足の調子が悪く

探すほどの気力は

今ありませんので

また機会があれば

ということにさせてください。