前回ご案内した

テレサ・ベルガンサが歌う

ヴェネツィアの音楽の

姉妹編のようなCDがありますので

良い機会ですから紹介しておきます。

 

ミランダ、ボレンほか『ヴェネツィアの音楽』

(キングレコード

 K35Y 10049、1986.8.21)

 

原盤レーベルは

前回の盤と同じく

スイスのクラーヴェス。

 

演奏は

アナ=マリア・ミランダ(ソプラノ)

リア・ボレン(アルト)

イェルク・エヴァルト・デーラー指揮

ベルン室内合唱団

南西ドイツ室内管弦楽団。

 

録音は1977年12月12日~14日で

前回のベルガンサ盤よりも古い。

 

 

ちなみに

「南西ドイツ室内管弦楽団」の原文表記は

Südwestdeutsches Kammerorchester Pforzheim

ですから、現在であれば

「プフォルツハイム室内管弦楽団」ないし

「プフォルツハイム南西ドイツ語圏室内管弦楽団」

と訳されるのではないかしらん。

 

「語圏」の文字は、本盤のように

省略されるかもしれませんけど

でも、ドイツではなく

スイスの団体なんですから

「語圏」と付けた方が

より正確でしょうし

帰属先も分かりやすいと思います。

 

 

本盤は、かなり前に

池袋のディスクユニオンで

見つけたのだったかと思います。

 

当ブログで

ヴィヴァルディのCDを

しばしば取り上げていた頃は

買っていたことを

すっかり忘れていて

ひょっこりCDの山から

出てきた1枚なのでした。(^^;

 

買った時に一回

聴いてると思いますけど

CDの山の中から見つけた頃

もう一度、聴いており

今回ベルガンサのCDの

姉妹編つながりで

また聴いてみた次第です。

(収録時間が50分程度ですし)

 

 

収録楽曲は

ガルッピ作曲

ソプラノ、合唱と管弦楽のための

マニフィカト ト短調および

ヴィヴァルディのお馴染み

ソプラノ、アルト、合唱と管弦楽のための

グローリア RV.589 の2曲です。

 

ガルッピについては

こちらのブログでも何度か

ふれたことがありますが

ヴィヴァルディの作曲なのに

ガルッピ作として売られたことで

今日まで残った曲がある

という意味でも

因縁浅からぬ2人の

カップリング盤となります。

 

録音された当時は

そういう因縁は知られてなかった

と思いますけど。

 

 

録音年度が古いので

おそらく古楽演奏では

ないと思われます。

 

でも、ガルッピに関しては

特に違和感なく聴けます。

 

スイスの教会で録音したことで

残響音がいい感じに働いて

良い雰囲気を醸し出しており

むしろ聴きごたえがあるくらいですし

ソプラノも美しいですね。

 

ただ、ヴィヴァルディは

テンポは問題ないのですが

男性部の合唱のバランスや

楽器の音のバランス、

演奏法(装飾の付け方?)などに

やや違和感を覚える箇所も

なくはありません。

 

ただ、テンポに違和感は少なく

慣れるとそれなりに

個性として感じられるあたり

ベルガンサが参加した

『スターバト・マーテル』よりは

いい演奏かな、と思います。

 

とにかく

バロック音楽に関しては

テンポが大事だと思います、

個人的な考えですけど。

 

 

ついでながら

『グローリア』は

トラックの区切り方が

かなり独特です。

 

第3曲から第5曲、

第8曲から第12曲を

それぞれ1トラックにして

全部で6トラックになっています。

 

渡邊学而のライナー文は

各楽曲ごとに解説しているだけで

そこらへんのことが

まったく書かれておらず

やや不満が残ります。

 

原曲がソプラノ二重唱なのに

現在ではソプラノとアルトの

二重唱で処理される

とかいうことは

書いてあるんですけど。

 

いうまでもなく

ライナーの「現在」というのは

リリース当時の現在であって

現在の古楽演奏であれば

ちゃんとソプラノ二重唱で

演奏されますので、念のため。

 

 

ちなみに

50分という収録時間からすると

原盤の方はLPが先行して出て

それをCD化したのではないか

と思われるんですけど

もとのLPの方が

日本でも出たかどうかは

検索してもヒットしないため

不詳です。

 

もしかしたら今回のCDが

本邦初紹介盤かもしれません。

(あくまでも、もしかしたら)