遅ればせながら
ミシェル・コルボが
つい最近、今年の9月2日に
亡くなっていたことを知りました。
あまりにも直近すぎて
びっくりです。
ミシェル・コルボは
当ブログでも
取り上げたことがあります。
その他の録音は
取り上げていないんですけど
モンテヴェルディやバッハ
フォーレの録音が有名で
ルネサンス・バロック時代の
珍しい宗教曲の録音も多く
バロック音楽のファンにとって
カール・リヒターと双璧を成す存在
だったようにも思われます。
リヒターの
ミュンヘン・バッハ合唱団と
同管弦楽団に対して
コルボには
ローザンヌ声楽・
器楽アンサンブルがあり
ともに宗教音楽や合唱曲の分野で
優れた演奏を聴かせたことが
よく知られています。
皆川達夫の『名曲名盤100』でも
言及されている
モンテヴェルディの
『宗教的・倫理的な森』を
ディスクユニオンの旧御茶ノ水店で
見つけた時のことは
いまだに忘れられません。
宗教声楽曲を聴くとすれば
まず素通りできない存在だと
思ってましたので
バッハのモテット集は
録音してないかしらん
と検索してみたところ
幸いなことに、というか
やっぱりありました。
というわけで取り寄せたのが
こちらの盤です。
(瑞西 Cascavelle: vel-3090、2005)
録音は1995年1月13~15日で
演奏はもちろん
ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル。
コルボ・エディションの第4巻で
ブラームス『歌曲・モテット・聖歌集』
Lieder, Motetten, und geistliche Gesänge
との合集、2枚組となります。
コルボ率いる
ローザンヌ器楽アンサンブルは
もちろんモダン楽器による演奏なのですが
本盤の場合、オルガンとヴィオローネ
リュートが使用されていますので
もしかしたらピリオド楽器での
演奏かもしれません。
もっともオルガンは
近代に入っての修復されたものかも
しれないわけですけど。
またヴィオローネは
コントラバスのご先祖ですが
コントラバス(ダブルベース)
と書く代わりに
ヴィオローネ
と書いているのか
本当にガンバ属のピリオド楽器を
使っているのかは不詳。
それでも
古楽に近い演奏
といえるかもしれませんし
そういう印象を持ちます。
もともとモテットは
アカペラで歌われることも多く
伴奏はあまり目立ちません。
ですから声楽の良し悪しで
演奏の良し悪しが決まるとも
いえるわけです。
その意味では本盤の演奏は
絶品と言っていいくらいで
さすがはコルボという感じでした。
以前、ヴィヴァルディの
グローリア RV589 を取り上げた時は
大人数の合唱(?)だから
古楽の演奏に比べると
大振りな感じがして良くない
みたいなことを書きました。
ローザンヌ声楽アンサンブルが
総勢何人かは分からなかったので
(ライナーに書いてありませんでした)
「(?)」と付けたわけですけど
本盤の場合、ライナーによれば
ソプラノ6(女声)、アルト7(女声)
テノール6(男声)、バス6(男声)の
総勢25人となります。
アルトだけ
他のパートに比べて1人多いのは
ブラームスの歌曲集でも
同様なんですけど
どうしてそういう編成になるのか
残念ながら分かりません。
それはともかく
本盤の合唱ですけど
綺麗にまとまっていて
バッハのポリフォニックな構造が
たいへんよく分かるように
演奏されています。
それよりも感銘を受けたのは
色気というのか
艶のある演奏になっていて
これには驚きでした。
ある意味
ロマンは風の演奏と
いえるかもしれませんが
それだけに(今風に言えば)エモい。
これはこれで説得力が感じられて
名演だと思う次第です。
ブラームスの演奏については
また今度、機会がありましたら
ということにして
最後になりましたが
コルボの冥福を祈ります。
享年87歳。