先にカントゥス・ケルン演奏の

バッハのモテット集を紹介した際

かつてよく聴いていた盤がある

と書きましたが、それがこちら。

 

スコラーズ・バロック・アンサンブル『バッハ:モテット集』

(香 Naxos: 8.553823、1997.8)

 

録音は1996年2月5~7日です。

 

 

合唱が総勢8名で

OVPP方式の演奏であるのみならず

器楽伴奏はヴァイオリンとチェロ、

オルガンという極小編成。

 

ナクソス盤なので廉価であり

各パート各1名のOVPP方式の演奏

それに加えて古楽器使用

ということになれば

買わない理由がないわけでして。

 

 

今回、久しぶりに聴いてみましたが

カントゥス・ケルンに比べると

どこか違和感を覚える演奏でした。

 

どこに違和感を覚えるんだろう

とつらつら考えてながら

ライナーの編成を見ていたところ

「カウンターテナー」

とあることに気づきました。

 

カウンターテナーというのは

女声に相当する高音域を男性が歌う声域で

パートとしては基本的にアルトなんですが

女声の高音域だけに

男性が裏声(ファルセット)を使い

歌うことになります。

 

日本人の演奏家だと

米良美一が有名。

 

昔は気にしてませんでしたが

カントゥス・ケルン盤を聴いた後だと

それが違和感をもたらす原因ではないか

と思ったわけです。

 

まさか

単にアルトを

カウンターテナーと

表記しただけということでも

ないでしょうけど。

 

 

それと、第1番ともいわれる

〈主に向かって新しき歌をうたえ〉

BWV225 の出だしは、もうちょっと

穏やかさの中にも溌剌とした感じ

とでもいうものが欲しい

とか思ったり。

 

また、第3番ともいわれる

〈イエス、わが喜び〉BWV227 が

やや表情をつけすぎかも

という感じがします。

 

これは純粋に

個人的な好みの問題で

むしろこれくらい

表情をつけてくれた方が

いいという人も

いるかもしれません。

 

 

というわけで

悪い演奏だとはいいませんが

(いえるほど専門家でもないし)

カントゥス・ケルン盤を

聴いた後となっては

そちらに一歩譲る

といったところでしょうか。

 

伴奏が極小編成というところは

大変気に入ってるのですけど

バッハの自筆譜が残っている

BWV226 の場合

ちゃんと管弦楽の指定もあるので

厳密なことをいえば

オーセンティックな演奏ではない

ということになりかねないわけですし。

 

そういう厳密さは

音楽性とは関係がないことも

分かってはいるんですけど……。