以前、ナイオ・マーシュの
『道化の死』の訳文がらみで紹介した
ヘンデルのチェンバロ曲
「調子のよい鍛冶屋」。
聴くならやっぱり
トレヴァー・ピノック盤が
いいのかなあと思ったんですけど
どうも手元にない模様。
どうしようか
と思っていたところ
先月、確定申告に行った先の
BOOK-OFFで見つけたのが
こちらの盤でした。
(日本コロムビア COCQ-83548、2001.10.20)
日本コロムビアは発売元で
レーベルは DENON です。
ピノックには
ヴァンガード盤とアルヒーフ盤があり
アンコール・ピース集らしい後者だと
「調子のよい鍛冶屋」と呼ばれる
組曲 第5番の第4楽章しか
入ってなかったかと思います。
今回ご案内の中野盤は
組曲 第5番の
全4楽章全てを収めているので
それだけでも
おススメに値しますね。
録音は2000年の4月。
使用楽器は
1730年製造の
ブーランシェのコピーで
フレンチ・タイプの2段鍵盤。
ヘンデル以外にパーセル、
ガルッピ、フィオッコ
デュフリ、バルバトルを収録。
ヘンデルとパーセル以外
馴染みがないかもしれない
とか思いつつ
パーセルにしたところで
微妙かもしれず。
本盤に収録されている
パーセル「ラウンドO(ロンドー)」は
ベンジャミン・ブリテンの
『青少年のための管弦楽入門』で
主題に使用されている曲として超有名。
といえば
ああ、あれかと
思う方も多いはず。
ガルッピは
ヴィヴァルディの晩年
ヴィヴァルディをしのぐほど
高名だったということを
以前、当ブログでも
書いたことがあります。
でもまあ、一般的には
有名とはいえないでしょうね。
そのガルッピの
ソナタ 第5番の第1楽章には
アルベルティ・バスが出てきて
モーツァルトかと聴き紛うよう。
バルバトル「マルゼルブ」の
前半から中盤にかけてのところにも
アルベルティ・バスが出てくるので
やっぱりモーツァルトのように
聴こえます。
後半はガラリと変わるんですが
どことなくオリエンタルな感じで
ロワイエの「スキタイ人の行進」を
彷彿させて面白い。
ベルギーのフィオッコは
ライナーによれば
チェンバロ曲はすべて
ヘンデル名義で出版されたのだとか。
自分的にも
あまり馴染みがないので
ヘンデルと似ているのかどうか
なんとも申せませんが
不思議なものですね。
以上、
リリース年が
ちょっと古いですけど
録音もいいですし
これはおススメ。
自分は未入手ですが
中野振一郎はこの2年後に
オール・ヘンデル・プログラムで
同じタイトルの盤を
出しています。
そちらなら今のところ
Amazon で新譜が入手可能。
個人的には
いろんな曲が楽しめる本盤の方が
いいと思いますけれど
いちおう、そういうのもあるよ
ということで。