以前、ヘンデルの音楽について
バッハやヴィヴァルディのように
いろいろな演奏を聴き比べる
というふうにはならない
と書きました。
そのとき
なんでかなあと
疑問を呈しておきましたけど
その後、つらつらと考えてみるに
自分は大編成の曲が
好きではないからではないか
と思い至った次第です。
ヴィヴァルディの場合
声楽曲を聴いたことが
印象を改めるきっかけだったので
ヘンデルの場合も
典礼音楽を聴いてみたら
印象が変わるかしらんと思い立ち
《デッティンゲン・テ・デウム》
HWV283 を聴いてみたんですけど
大合唱に辟易させられたという(苦笑)
自分が聴いたのはこちら↓
(NAXOS JAPAN: 8.554753、2001.12)
録音は1999年8月です。
テ・デウムというのは
「賛美の歌」というような意味で
デッティンゲンというのは
オーストリア継承戦争において
イギリス・オーストリア連合軍と
フランス軍が戦った場所だそうです。
その戦いにおいて
フランス軍に勝利したので
戦勝祝賀行事のために
作曲されたものだとか。
聴く前に
そういう背景を
調べとくべきだったかも。
それはそれとして
日本流通盤のオビ(タスキ)裏には
「デッティンゲン・テ・デウム」を聴けば
貴方もきっとヘンデルの濃厚なファン
(ヘンデリアン)になることでしょう。
などと書かれています。
合唱メンバーは何人なのか
ライナーには書かれていないので
分かりませんけど
冒頭合唱からして
残響のせいもあってか
音が籠って歌詞が聴き取りにくい。
聴き取れたからといって
意味が分かるわけでもありませんが
(もっとも、ネットなどで調べれば
すぐに分かるかも知れませんけど)
もうちょっとクリアさが欲しい
というのが正直なところ。
ヘンデリアンという種族は
ド派手な大合唱や大編成が
お好きなんですね
と皮肉のひとつも
いいたくなってくるわけです。
ヘンデルの伝記を読むと
王室に頼まれた曲などは
大編成の楽隊を使えるため
発奮したようなので
ヘンデル自身
大編成好みだったのかもしれず。
それとも創作家魂を刺激されたのか。
ぶっちゃけた話、
豪華なおもちゃを与えられ
いろいろと試してみたくなる
子どものようなものだったりして。
いずれにせよ自分は
バッハのマタイ受難曲や
ロ短調ミサ曲、協奏曲などでも
小編成を好むくらいですから
どうもヘンデルの曲は肌に合わない。
戦勝祝賀のための曲となれば
なおさらです。
もっとも
これは個人の好みにすぎないですし
上記のように書いた後
他の奏者による
《ディッテンゲン・テ・デウム》を
聴いたりしたあとで
NAXOS盤をもう一度
聴き直してみたら
さほど悪くないと
思うようになりました。
その、他の奏者の盤については
また改めて。