沼野雄司『現代音楽史』
(中公新書、2021年1月25日発行)

カバーおよび内扉の副題は
「闘争しつづける芸術のゆくえ」


現代音楽に対する興味は
ミニマリズムの音楽にしかなく
いったい、いつからが
いわゆる現代音楽なのか
ということも知らずにきました。

新書という
コンパクトな容れ物によって
大まかな流れが分かるのは
実にありがたいと思い
購入した次第です。

同じ中公新書から
岡田暁生の『音楽の聴き方』(2009)や
『西洋音楽史』(2005)が出ていて
面白かったということもあり
ハズレはないだろう
と見込めましたし。


「はじめに」で
「現代音楽の歴史を追いながら、
二十/二十一世紀という時代を
逆照射すること」が「主な狙い」
と書かれてある通り
その作品や運動が生じた
時代背景と絡ませつつ
書かれているため
興味深く読み終えられました。

特に、1933年頃から見られる
全体主義国家においての
クラシック音楽のありようを
紹介していく第3章は
日本学術会議に絡む問題など
昨今の日本の状況を顧みるにつけても
何がしかの思いを抱かずにはいられません。

また、ミニマリズムの音楽が
1968年の政治の季節を経て
登場したことや
古楽ムーヴメントもまた
そこで生まれた進歩への懐疑を
踏まえているという指摘などは
自分の関心領域でもあるので
興味深かったです。

なにより
現代音楽史の本で
古楽ムーヴメントが出てくるとは
思いもよらず
なんだか嬉しかったりして。


こういう本を読むと
面白そうな楽曲については
どうしても聴きたくなってくるのが
困りものといえば困りもの。

今の自分のキャパでは
バロック音楽で精一杯なんだから
自重すべしと戒めておりますが
どうなりますやら。( ̄▽ ̄)