ナイーヴ・レーベルから出ている

ヴィヴァルディ・エディションの1枚

Vivaldi: New Discoveries.

『ヴィヴァルディ:ニュー・ディスカヴァーズ』

(仏 Naïve: OP-30480、2008)

【演奏】フェデリーコ・マリア・サルデッリ(指揮)

    モード・アンティコ

【録音】2008年5月

 

前回は本盤収録の

声楽曲について書きましたが

今回は器楽曲について。

 

本盤に収録されている器楽曲は

 協奏曲 ト短調 RV578a

 リコーダー・ソナタ ト長調 RV806

 ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 RV798

 協奏曲 ト短調(リオム番号なし)

 ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 RV810

の5曲になります。

 

 

ふたつの協奏曲の内、RV578aは

《調和の幻想》作品3の第2番と同じ曲で

a と付いているのは異稿だからです。

 

その RV578aの独奏楽器群は

2挺のヴァイオリンとチェロ

(と通奏低音楽器)になります。

 

通奏低音楽器に

イタリア系の演奏でお馴染みの

テオルボが加わっていて

これがなかなかいい感じ。

 

 

リオム番号の付いていない

ト短調の協奏曲には、かつて

RV812 というリオム番号が

付されていました。

 

その時は

オーボエとチェロを独奏楽器群とする

ダブル・コンチェルトだったんですけど

今回はファゴットが加わって

トリプル・コンチェルトになっています。

 

ライナーに掲載されている

マイケル・トールバットの解説によれば

サルデッリのさらなる調査によって

既存の部分とぴったり合う楽想

(パッセージ)が発見されたそうで

それによったために

編成が変ったものでしょうか。

 

オーボエとチェロによる

ダブル・コンチェルトの演奏は

聴いたことがないので

比較して云々することはできません。

 

ただ、本盤の第2楽章を聴くと

オーボエとファゴットがお互いに

会話を交わすように絡み合う

エコー的な効果が印象的で

それにチェロが別のラインで絡み

チェンバロが通奏低音風に加わる

という四重奏になっていて

なかなかいい雰囲気です。

 

 

3曲のソナタはいずれも

ソロ楽器に

チェロとチェンバロ

それにテオルボが加わった

通奏低音が伴うものですけど

リコーダー・ソナタには

ファゴットが加わってますね。

 

第3楽章のラルゴは

リコーダーとファゴットの二重奏で

ちょっといい感じ。

 

なお、本曲で

リコーダーを演奏しているのは

指揮も務めるサルデッリです。

 

 

ところで本曲は

リコーダ・ソナタとはいうものの

原題を見ると

Sonata per flauto dritto e basso continuo

(フラウト・ドリットと通奏低音のためのソナタ)

となっています。

 

flauto dritto って何なんだ

と思って調べてみたら

英訳すると straight flute

すなわち「まっすぐなフルート」。

 

フルートと呼ばれる楽器は

バロック時代であれば

リコーダーを指してましたから

「馬から落ちて落馬した」みたいな

変な表現(重言)ですけど

まっすぐではない縦笛と区別する

という意味合いが

あったのかもしれません。

 

flauto dritto は

現在ではおしなべて

リコーダーと訳すみたいですけど。

 

 

本盤に収録されている

ヴァイオリン・ソナタ RV810 は

リコーダ・ソナタ RV806 の異稿なので

(番号は発見された順にすぎないため

 逆かも知れませんけど、それはそれとして)

違う楽器による演奏を

聴き比べる楽しみもあります。

 

ヴァイオリン・ソナタを聴いてから

リコーダ・ソナタを聴き直すと

その超絶技巧ぶりに

圧倒されること請け合いです。

 

第3楽章(ラルゴ)は

ヴァイオリンとキターラ

(それともテオルボか知らん)

その2挺による二重奏になっていて

これがまた、実に良く

リコーダーとファゴットの二重奏と

甲乙つけ難い感じ。

 

 

残りの1曲

ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 RV798 は

第2楽章のアレグロで

重音奏法が駆使されていて

そこはヴィヴァルディらしいのかも。

 

ヴィヴァルディは

ヴァイオリンの名手として知られ

《悪魔のトリル》で知られるタルティーニも

ライヴァル視してたようですし。

 

第4楽章のアレグロは

舞曲風な印象を受ける

軽快な楽章でした。

 

 

ヴァイオリン・ソナタは2曲とも

ヴィヴァルディにしては

とんがっておらず

古風な感じがします。

 

そもそも作品1として出版されたものも

アルカンジェロ・コレルリ風の

古風なスタイルを遵守して

冒険を避けていますから

当然なのかもしれませんけど。

 
 
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