あるCDを探していたら

こんなのが出てきました。

 

『ヴィヴァルディ:

 カンタータ「愛の神よ お前は勝った」他』

『カンタータ「愛の髪よお前は勝った」他』

(ANFコーポレイション ANF-168、1988?)

 

こんなCDを買っていたのか!

と、びっくり。

 

 

日本流通盤のリリース年は

どこにも書かれていないので

正確には分かりません。

 

上のリリース年は原盤によるもので

録音は1986年の9月になります。

 

原盤の発行元は Frequenz[フリクェンツ]で

Venetia[ヴェネツィア]というのは

レーベル名のようです。

 

 

演奏は

アカデミア・クラウディオ・モンテヴェルディ・ヴェネチア

というところで

指揮とチェンバロが

ハンス・ルートヴィヒ・ヒルシュ、

ソプラノ独唱はターニャ・ダルタン。

 

ちなみにダルタンの名は

タスキ(オビ)の表側にあるだけで

それ以外にはタスキ裏や邦語解説のどこにも

フルネームで書かれていません。

 

それくらい

知られている(いた)というより

邦盤スタッフのケアレスミス

ということでしょう。

 

 

カンタータというのは

バッハでお馴染みのジャンルですけど

ヴィヴァルディの場合

ソナタと対になる概念のようで

器楽曲に対する声楽曲

というくらいの意味のようです。

 

バッハのカンタータのように

器楽のシンフォニアが付いたり

伴奏が付いたりするのではなく

その多くは通奏低音楽器の伴奏のみで

曲によってはそれに

ソロ楽器がひとつ、ないし

複数の弦楽合奏が加わるくらい。

 

多くは貴族の館で

ソリストの独唱で演奏されるもので

要するに貴族が抱えていた

あるいは援助していたオペラ歌手などに

私邸で歌わせることを目的とした楽曲

ということになりましょうか。

 

もちろん実演の際は

その貴族によって客が招かれて

その前で歌うわけですから

私設のソロ・ライブのようなもの。

 

もともとはオペラも

貴族の館で、主人や客の前で

披露されていたものですから

その流れにあるものともいえそうです。

 

 

ヴィヴァルディのカンタータは

ギリシア神話や牧歌劇を基に

愛の苦しみ、哀しみを歌うという内容で

ソプラノないしアルトの独唱曲ですが

男性から女性への気持ちを

歌ったものばかりだとか。

 

レチタティーヴォとアリアがセットになり

2セット歌われて1曲を構成しますけど

最初のレチタティーヴォが

省略される場合もあるので

全体で3楽章か4楽章になります。

 

 

本盤にはソプラノ独唱のカンタータとして

 《疑惑の影に》RV678

 《涙の雨よ》RV656

 《愛の神よ、お前は勝った》RV651

の3曲を収録している他

 フラウト・ドルチェと通奏低音のためのソナタ RV52

 チェロと通奏低音のためのソナタ RV40

 フラウト・トラヴェルソと通奏低音のためのソナタ RV48

という3つの器楽曲が収められています。

 

フラウト・ドルチェとはリコーダーのことで

フラウト・トラヴェルソはご存知のとおり

現在でいうフルートのこと。

 

 

このうち《愛の神よ、お前は勝った》は

ホグウッドのボックスに入っている

エマ・カークビーが歌っていた

《愛よ、お前の勝ちだ》と同曲です。

 

おかげさまで同曲のみ

歌詞の日本語訳が読めるわけで

これはケガの功名というべきか。

 

というのも

今まで本盤以外に

カンタータの日本語訳が付いたCDを

見たことがないからでして

たった1曲とはいえ

実にありがたい。

 

 

なお、一般的なCDでは

レチタティーヴォとアリア

それぞれに1トラック当てられる

という場合が多いんですけど

ここではカンタータ1曲1トラック

という切り方がされてます。

 

ただ、このCDでは器楽曲も

楽章ごとにトラックが切られておらず

1曲1トラックになっていて

これはちょっと珍しい。

(というか変)

 

 

本盤はたぶん

中古で買ったものだと思いますが

いつ、どこで買ったのかは

ちょっと記憶にありません。

 

単に珍しいと思って

買っておいただけなので

一度、聴いただけで忘れてしまい

幾星霜といったところでしょう。(^^;ゞ

 

買ったころは現在のように

ヴィヴァルディの声楽曲にハマるとは

予想だにしておりませんでしたが

今となっては買っておいて幸いでした。

 

演奏自体は残念ながら

とりあえず歌ってみましたという感じで

ヴィヴァルディの声楽曲に慣れた

今の耳で聴いても(今の耳で聴くからこそ?)

ちょっと物足りない。

 

もっとも

表題曲《愛の神よ、お前は勝った》は

ヴィヴァルディのメロディーがいいので

特に最初のアリアの跳ねるリズムが

それなりに聴かせますけど。

 
 
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