少し前にも書いた通り

皆川達夫が『ルネサンス・バロック名曲名盤100』で

クーナウの『聖書ソナタ』第1番

「ダビデとゴリアテの戦い」を取り上げた当時

レオンハルトの演奏する『聖書ソナタ(全6曲)』

CD化されていませんでした。

 

ただし皆川の本には

『聖書ソナタ』第6番「ヤコブの死と埋葬」のみ

レオンハルトの

『バロック・チェンバロ・リサイタル』

というCDに入っていると

書かれていました。

 

そちらは皆川の本が出た翌年に

廉価盤がリリースされ

店頭で見た時は嬉しくって

これまた即行で買ったものでした。

 

レオンハルト『バロック・チェンバロ・リサイタル』

(日本フォノグラム PHCP-9046、1993.5.26)

 

原盤のレーベルであるフィリップスの

スーパー・セレクションの1枚です。

 

 

使用楽器は

アムステルダムの Joel Katzman 制作

とあるだけで

モデルとなった楽器がどこの何なのか

(リュッカースではないかと思うものの)

正確なところは不詳です。

 

初リリース時の

日本語ライナーか原文のライナーには

書かれていたのではと思いますが……。

(上掲の盤は再発廉価盤なので

原文ライナーは付いてませんでした)

 

 

録音は1988年の9月で

『聖書ソナタ』全曲録音の時は

42歳だったレオンハルトも

60歳になっており

「バロック音楽の重鎮」として

押しも押されぬ存在になっていました。

 

そういうレオンハルトが

アンコール・ピース集のようなディスクを

出したわけです。

 

 

演奏されているのは

クーナウ(独)の他に

ルイ・クープラン(仏)

ヘンリー・パーセル(英)

J・S・バッハ(独)

ドメニコ・スカルラッティ(伊→西)

J=N=P・ロワイエ(仏)

J・B・ド・ボワモルティエ(仏)

ピエール・フェブリエ(仏)

ジャン=フィリップ・ラモー(仏)

といった面々。

 

こちらも

以前ご案内のブロスのCD同様

チェンバロによる諸国めぐり風ですけど

特に共通するテーマがあるわけでもなく

フランスのクラヴサン曲が多めなのが

ちょっと目を引くところでしょうか。

 

フェヴリエ以外は割と有名どころですが

そこにクーナウを含めた理由は

よく分かりません。

 

 

割と有名どころ、と書いたものの

それは今だからいえること。

 

購入した当時の自分は

大クープランではなく

その伯父のルイ・クープランを

入れているあたりの渋さはかろうじて

気づいていたかもしれませんけど

(レオンハルトが

 ルイ・クープランを弾いたの1枚ものを

 すでに持っていたはずだから)

ロワイエも、ボワモルティエも

聞いたことも聴いたこともない作曲家で

ほんと、半可通もいいところでした。

 

いや、半可通なところは

今も変わってないかもしれませんけど。(^^ゞ

 

 

ちなみにタスキ(オビ)の副題に

「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」

とありますが

アンナ・マグダレーナ・バッハというのは

バッハの2番目の妻の名前。

 

その2番目の妻のために

家庭での演奏用に音楽帳を贈ったそうで

そこにはいろいろな曲が

書き込まれていたとのことです。

 

『バロック・チェンバロ・リサイタル』に

収められているバッハの曲、

『ゴルトベルク変奏曲』のアリアや

有名なバッハのメヌエットなどは

最初、この音楽帳に

書き込まれていたものですが

バッハ以外の曲も書かれていました。

 

とはいえ

ここで演奏されている作品が

すべて書き込まれていたわけではなく

本盤がゴルトベルクのアリアや

メヌエットなどの演奏を収めているので

上記のような副題が日本で独自に

付けられたものでしょう。

 

 

ちなみに本盤収録の

クーナウの演奏には

当然ながら

朗読はついてきません。

 

デュルケンとは違う

リュッカースの軟らかい響きは

耳に心地よく魅力的で

朗読抜きのチェンバロ独奏版を

1枚残しておいてほしかったなあと

つくづく思う次第です。

 
 
ペタしてね