前回の記事の最後に
「バッハの独奏オルガン用の協奏曲が
意外と簡単には聴けない」
と書きました。
というのも
たまたま持っている
ヘルムート・ヴァルヒャと
トン・コープマンの
旧盤全集を見てみたのですが
その両方ともに入ってなかったものですから。
かつては
サイモン・プレストンの
独奏オルガン用の協奏曲を集めた1枚ものが
グラモフォンから出ていたようですけど
今ではBOX、すなわち全集でしか
買えないみたいです。
結局のところ
Brilliant から出ているバッハ全集が
まだ10枚組とかのBOX単位で
分売していた頃に買っておいた
『オルガン作品集』第2巻を見てみて
ようやく聴くことができた次第です。
(蘭 Brilliant Classics: 99381、2000.6.21)
上記リリースデータは
タワーレコード・オンラインに拠ります。
そのあと興味のおもむくままに
チェンバロ独奏用の協奏曲も
確か買ってあったなあとか
イ・ムジチ盤以外の〈調和の幻想〉は
持ってなかったかなあとか思いながら
棚をあさっていて見つけたのが
今回ご案内のCDです。
(蘭 Brilliant Classics: 92809、2005.12.10)
リリース年月日は上記と同様
タワーレコード・オンラインに拠りましたが
Brilliant Classics のサイトのカタログだと
2006年4月となっています。
(なぜでしょう?)
エレナ・バルシャイという
ロシアの鍵盤奏者による2枚組で
正確なタイトルは
J. S. Bach: 12 Organ Concertos after Vivaldi
ですが、ケース裏のみ after Antonio Vivaldi と
ヴィヴァルディの名前がフルネームになってます。
バッハが鍵盤用に編曲した協奏曲の内
原曲がヴィヴァルディのものを中心に
集めたCDなのですが
ちょっと変わっているのは
チェンバロ独奏用のものや
4つのチェンバロのための協奏曲を
オルガン用に編曲して収めている点です。
収録曲は以下の通り。
【CD1】
BWV976 ←〈調和の幻想〉作品3の12
BWV592 ←ヨーハン・エルンスト公子
BWV972 ←〈調和の幻想〉作品3の9
BWV975 ←〈ラ・ストラヴァガンツァ〉作品4の6
BWV978 ←〈調和の幻想〉作品3の3
BWV593 ←〈調和の幻想〉作品3の8
BWV973 ←作品7の8
【CD2】
BWV595/984 ←ヨーハン・エルンスト公子
BWV980 ←〈ラ・ストラヴァガンツァ〉作品4の1
BWV596 ←〈調和の幻想〉作品3の11
BWV594 ←作品7の11
BWV1065 ←〈調和の幻想〉作品3の10
← の右側に原曲を書いておきましたけど
BWV592 と BWV595/984 の
ヨーハン・エルンスト公子というのは
バッハが仕えたことのある君主の甥で
音楽好きだった公子は自らも
ヴァイオリン協奏曲を作曲したのでした。
他はすべてヴィヴァルディの曲で
エルンスト公子が留学先から持ち帰り
バッハに編曲を依頼したのでした。
また、BWV900番台が
オリジナルがチェンバロ独奏用のもの
BWV1065のオリジナルは
4つのチェンバロのための協奏曲です。
ちなみに、このBWV1065は
2つのオルガン用にアレンジして
多重録音で演奏されているのだとか。
BWV595/984 としてあるのは
オルガン用の編曲が第1楽章しかなく
第2楽章以下はチェンバロ用のものを
オルガン用に編曲し直して
まとめたものです。
なお、BWV595/984 までが
アルレスハイム大聖堂のジルバーマン・オルガン
BWV980 以降は
バーゼルにある聖クララ教会の
メッツラー・オルガンで演奏されています。
とは書いてみたものの
自分の耳では
違いが聴き分けられませんけど。(^^ゞ
BWV594の第2楽章のみ
レジストレーションの関係でしょう、
まるでトランペットが響いているように聴こえ
ちょっと異色な感じ。
両方ともスイスのオルガンですが
アルレスハイム大聖堂のオルガンは
ジルバーマンが1761年に建造し
1959年から1962年にかけて
メッツラーが修復したものだそうで
カール・リヒターなど
なみいる大家が録音に使用しているそうです。
(これについては以下のページを参照しました
https://suisse.exblog.jp/703452/
https://suisse.exblog.jp/2197627/ )
ところで本盤も
前回の『ヴィヴァルディ=バッハ』同様
録音年月日がどこにも書かれていません。
つい最近出た盤だというのに……。
Brilliant Classics のサイトにも
書かれていないので
さすがに調べる気力が
湧かなかったのですけど
リリース年が2005年(ないし2006年)なら
2005年のいつかではないかと。