西山まりえの

スペイン・チェンバロ音楽のCD

紹介したことにちなみ

スペイン・チェンバロ音楽のCDをもう一枚

紹介しておくことにしましょう。

 

シュタイアー『ファンファンゴ』

(ワーナーミュージック・ジャパン

 WPCS-10065、1999.2.24)

 

こちらのCDは

採点済み答案を届けに行った帰りに

足の悪いのをおして立ち寄った

渋谷のレコファンで買ったものです。

 

 

ジャケットの写真から受ける印象は

性格の良さそうなおじさん

という感じですが

エッジの利いた演奏で知られる古楽アンサンブル

ムジカ・アンティクヮ・ケルンの

チェンバリストを務めていただけあって

これでなかなか、というと失礼ながら

シャープかつドスの利いた演奏を

聴かせたりします。

 

本盤の演奏も、例えば

アントニオ・ソレルのファンダンゴなんて

最初、おとなしく始まっていながら

一気にスピードをあげていき

ピアノで鍵盤を叩き付けた時のような和音を

雷鳴のように響かせたりしてます。

 

チェンバロが壊れるんじゃないか

と思っちゃうくらい。( ̄▽ ̄)

 

 

他の曲にしても、

ジョゼプ・ガレスとホセ・ファレルの

一部の楽曲を除き

とにかく速い。

 

戦闘的で疾走感のある演奏を楽しむなら

本盤はチョーおすすめですが

最後まで聴き通すと

疲れるかも知れませんね。

 

 

西山まりえのCDは

ルネサンス期の音楽家が中心でしたが

本盤は、音楽史的にいえば

バロック後期から古典派にかけての音楽家

ということになります。

 

ですから基本的に(1曲を除き。後述)

チェンバロのために書かれた曲ばかりです。

 

中にはフォルテピアノのために、ないし

フォルテピアノを想定して書かれた曲も

あるかもしれませんけど。

 

 

中で有名なのは、上でふれたソレルと

ルイージ・ボッケリーニくらい。

 

それ以外は

先にあげたガレスとフェレル

フェリクス・マクシモ・ロペス

セバスティアン・デ・アルベロなど

例によって、よく知らない音楽家ばかり。

 

もっともガレスに関しては

先日たまたまハープシコード・ソナタ集を

買ったばかりなんですけどね。

 

 

ちなみにシュタイアー自身はライナーで

こんなことを書いています。

 

私は「バッハそして同時代の群小作曲家」とか「スカルラッティとそのスペインのエピゴーネンたち」といったプログラムは嫌いなのだ。後から訳知り顔に「偉大」か「小物」かに分類したところで対して役には立たないし、先入観なしに作品を認識するには邪魔なだけなのである。(石川陽一訳。「対して」というのは翻訳の原文ママですが、誤植でしょうね

 

このあと、当時の音楽学の学者が

どうでもいいことを

あーだこーだ議論している

という皮肉が続きますけど

そちらは省略。

 

上のように書かれちゃうと

この人は有名だけど他の人は知られてない

なんて書くのは

ためらわれちゃいますが

まあ、そこはそれということで。(^^ゞ

 

 

シュタイアーの文章とは別に

作曲家の経歴を書いている石川陽一が

「この録音に選ばれた作曲家の中で

 間違いなくもっとも有名な人物である」

と紹介されているボッケリーニは

チェロの名手として知られており

チェロのための曲を多く残しています。

 

その他、ギターのための曲も多いのですけど

チェンバロのための曲はありません。

 

本盤に収録されているのは

もともとは弦楽五重奏曲に基づく

ギター五重奏曲第4番の第4楽章

通称ファンダンゴを

シュタイアーと

やはりチェンバリストである

クリスティーネ・ショルンスハイムとで

2台のチェンバロ用に編曲したものです。

 

シュタイアー曰く

「チェンバリストにとっては

 指がむずむずしてくる音楽なのである。

 どうしても編曲しないで入られない!」

のだそうで。( ̄▽ ̄)

 

 

第4楽章ではチェリストが

チェロをカスタネットに持ち変えて

演奏するよう指示されているそうですけど

シュタイアーもショルンスハイムも

それは無理、ということで

カスタネット奏者を招いての演奏になっており

ちょっと珍しいというか

異色かもしれませんね。

 

途中、カスタネットの音が出てくるのが

たいへん印象的ですけど

チェンバロがまた、負けじとばかりに

鍵盤を叩き付けるような

激しい演奏を披露しており

グリッサンドも出てきたりして

すごいです、一聴の価値ありかも。

 

 

とはいえ

こういう演奏が好きかと聞かれたら

昔の自分ならともかく、最近の自分は

うーんと悩まざるを得ないところも

あったりしますけどね。

 

それと

一聴の価値があるかどうかとは

また別の話です。


 

使用楽器は

18世後半に制作された

無名の作者による

ジャーマン・モデルのコピー。

 

共演しているショルンスハイムもそうです。

 

ジャーマン・タイプだから

迫力のある音が出るんでしょうかね、

よく分かりませんけど。

 

 

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