前回、西山まりえの演奏する
スカルラッティの作品集を取り上げて
ちょうどよい機会なので
ソロ・デビュー盤をご紹介。
(Cookie & Bear: C&B-00003、1999.10.25)
リリース月日は
タワーレコードオンラインのデータに
拠りました。
もっともそちらだと
レーベルはライヴノーツ
CD番号は WWCP-7124 に
なっていますけど。
ライヴノーツと
Cookie & Bear の関係や
そもそも Cookie & Bear が
どういうレーベルなのかも
さくっと検索してみたんですけど
分かりませんでした。
これは昔
どこだかのCDショップで見つけて
スペインのチェンバロ曲集は珍しい
と思って買ったものでした。
ところが珍しすぎて
収録されている作曲者が
ほとんど知らない人ばかり。( ̄▽ ̄)
かろうじて
ルイス・デ・ミランと
アントニオ・デ・カベソンは
今も参考にしている皆川達夫の
『ルネサンス・バロック名曲名盤100選』(1992)で
知っていましたけれど。
その後、ファン・カバニリェスと
フランシスコ・コレーア・デ・アラウホは
それぞれ単独の作品集を入手しました。
でも、その他のホセ・ヒメーネスとか
セバスティアン・アギレーラ・デ・エレディア
ガブリエル・メナルト
カベソンの息子エルナンド・デ・カベソン
といった人たちの楽曲など
本盤以外では、記憶にある限り
見たことも聴いたこともありません。
もっとも
ダブり買いしちゃうような
心もとない記憶力ですから
あてにはなりませんけど。( ̄▽ ̄)
その昔、皆川達夫も上記の本で言及している
『スペイン古楽集成』という
大部のシリーズがありまして
CD化され、再リリースもされたと
記憶していますが
それなんか、買っていれば
上記の音楽家たちについても
馴染んでいたかもしれないのですけど。
先立つものがありませんでした…… Orz
本盤のライナーも
スカルラッティの時と同様
西山まりえ自身が書いていますが
当時の記譜法を示すために
楽譜を写真版で掲げてあって
読みごたえあります。
また、使用されている楽器は
イタリア様式の無名のチェンバロと
ヴァージナルのコピーですが
なぜイタリア様式なのか
といったことを
楽器製作者が解説していて
これまた読みごたえがあります。
本盤に収録されている音楽家のほとんどが
大バッハが生まれる以前に
亡くなっています。
つまり音楽史的には
ルネサンス期の音楽家が
ほとんどなわけです。
またミランの曲は
今日のギターに似た楽器である
ビウエラのために作られた楽曲ですし
カベソンやカバニリェスの曲の場合
オルガンのために作られたものと思われます。
だから
いわゆるオーセンティックな演奏とはいえず
買った当時は自分も原理主義者だったので
それを不満に思ったかも。
ただ
オルガン、クラヴィチェンバロ、モノコルド
といった鍵盤楽器を総称する
テクラ Tecla という言葉があったそうですし
(本盤のスペイン語タイトルにも使われています)
チェンバロ製作者の記録もあるそうなので
当時から楽器の違いを気にせず
演奏されていた可能性はあります。
バロック時代になると
楽器を持ち替えての演奏は
当り前になりますし。
オーセンティックじゃない
という理由で聴かずに済ますのは
いかにも勿体ないですね。
なお、ビウエラのために書かれた曲は
ヴァージナルで演奏されています。
ヴァージナルの素朴な響きが
ビウエラに近いと
判断されたのかもしれません。
ウチにはビウエラ曲集のCDがないので
確かにそうだとはいえませんけど
何となく。(^^ゞ
ちなみにライナーでは
何の註釈もなしに
「モノコルド」
と書いてあるんですが
Wikipedia などによると
弦が一本の楽器だそうで
それで鍵盤楽器の一種なのか
と思っていたら
下のページを見つけました。
http://www.gs.kunitachi.ac.jp/collectiondb/j_carn1357.html
鍵盤付きの単弦楽器って
どんな感じなんでしょうね。
モノコルドを発展させたのが
クラヴィコードだという説明も
世界大百科事典にあるようなので
クラヴィコードの別名かもしれません。
以上もろもろ
買った当時は調べもしませんでしたが
改めて調べたりすると面白いですし
曲の味わいもまた変わるような。
本盤は中古でもあまり見かけませんから
(どこだかのディスクユニオンで
一度だけ見たことがあります)
めったに棚から出してこないとはいえ
新譜で買っておいて正解だった1枚ですね。