『大瀧詠一のジュークボックス

 〜エルヴィス・プレスリー篇』(2014)

というコンピレーションCDを聴いていて

「好きにならずにいられない」が流れたとき

アグネスの歌で親しんでいたメロディーだったので

びっくりした、という話の続きです。

 

 

プレスリーの

「好きにならずにいられない」は

CDの楽曲紹介(執筆は萩原健太)によれば

映画『ブルーハワイ』(1961)の挿入歌で

クラシック曲「愛の喜び」を

下敷きにしているのだとか。

 

熱心なアグネス・ファンなら

これだけでピンとくるかもしれません。

 

「好きにならずにいられない」のメロディーは

アレンジの違いによって微妙に違いつつも

自分が中学生の時に買って

レコードがすり切れるくらい愛聴した

2枚組のアルバム『はじめまして青春』

1枚目のB面に収録されている

「愛の喜び(Plaisir D'amour)」に

酷似していたのです。

 

はじめまして青春(LP)

(ワーナーパイオニア L-5511~2W、1975.12)

 

前にも書きましたが

こちらのアルバムは

後にCD化されています。

 

はじめまして青春(CD)

(ワーナーミュージックジャパン WPC6-8086~7、1994.12.21)

 

なお上記した曲名の

フランス語の表記は

原文ママです。

 

個人的には

Plaisir d'amour と

表記したいところなんですけど

それはともかく。

 

 

萩原健太のいう

クラシック曲というのは

Wikipedia で

「好きにならずにいられない」を引いて

そこにリンクが張られている

「愛の喜び」に飛べば

一発で分かります。

 

便利な時代になったものだあ。

 

それによれば作曲者は

ジャン・ポール・マルティーニ

(1741〜1816)という

ドイツ出身のフランスの作曲家。

 

作詞は

ジャン・ピエール・クラリス・ド・フロリアン

(1755〜94)で

原曲はフランス語ですが

イタリア語の歌詞で歌われることも

多いのだとか。

 

これはイタリアの音楽学者

アレッサンドロ・パリゾッティが編纂した、

日本では『イタリア歌曲集』というなで知られる

『古典イタリア・アリア集』(1914)に

収めたからなのですけど

長くなりますので

それはまた別の話とします。

 

 

『はじめまして青春』のライナーには

「フランス民謡」とだけ記されていて

原曲の作曲者名などはなく

「(日本詞)岡田冨美子

 あかのたちお編曲」

とあるだけでした。

 

これじゃ

洋楽に興味のない

田舎の中学生には

原曲に気づきようもないわけで。

 

当時、洋楽に親しんでいた

アグネスのファンなら

気づいていたんでしょうかねえ。

 

 

プレスリーのバージョンは

もちろん英語で歌われますが

アグネスのバージョンは

まずフランス語で歌われ

続いて同じ歌詞を英訳詞で歌った後

日本語の歌詞で歌われる

という構成になっています。

 

日本語の歌詞は自由訳というか

先行するフランス語詞、

英訳詞の直訳ではありません。

 

だから厳密には

プレスリーのカバーではないのですが

(歌詞も違いますし)

プレスリーが歌っていなければ

アグネスのアルバムに入れようと

企画されなかったのではないか

と考えずにはいられないわけでして。

 

 

バラード調の歌い上げる系の曲が

あまり好きではなかったこともあり

フランスの民謡なら

作曲者はいないよなあ、とか

当時は漠然と考えていて

何となく放っておいたのですけど

まさか今ごろ原曲が分かるとは

思ってもみませんでした。

 

長生きはするもんですねえ。

 

 

ただ、こうなってくると

プレスリーが下敷きにしたという

マルティーニの原曲が

聴きたくなってくるわけで。

 

それがアグネスが歌う楽曲の

原曲であることが確実である以上

なおさらです。

 

 

どうせ聴くなら古楽器演奏で

フランス語バージョンがいいな、とか

でもイタリア語バージョンも

聴いとくべきかな

とか考えながら

いろいろ検索してみた結果

2枚のCDを中古で入手しました。

 

長くなりましたので

そちらについては

次回に続くということにします。

 

To be continued. . . 

 
 
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