前にもちょっと書きましたが
1970年代にデビューした
新人アイドルの場合
ファースト・アルバム収録曲がすべて
オリジナル曲ということは珍しく
先輩アイドルのカバーだったり
洋楽カバーが含まれていたりということは
一般的だったようです。
で、1973年の4月に
「赤い風船」がリリースされ
(歌自体は、その2ヶ月前から
放送が始まったドラマ
『時間ですよ』第3シリーズ劇中で
劇中歌として歌われていたようですけど)
歌手としてデビューすることになる
浅田美代子の場合も御他聞に洩れず
翌月に出たデビュー・アルバムのB面は
すべてカバー曲、
それも洋楽のカバーでした。
こちらがそのファースト・アルバム。
(CDは未入手だけど
LPは持ってるのでした【^^ゞ)
(CBS・ソニーレコード ECLJ-1、1973.5)
リリース年月は Wikipedia に拠りました。
封入されていた
CBS・ソニー5周年記念の
イベント応募券からも
リリース年は確定できますけどね。
タスキにもある通り
初リリース時は
ポスターが付いていたようですけど
中古で買ったものには残念ながら
散逸しておりました。
レコードは1枚だけですけど
仕様はダブルジャケットで
見開きの内側には
本人の直筆メッセージと
詳細なプロフィールが
掲載されています。
本人の筆蹟(ジャケ左側)は
達筆というのとは違いますけど
いかにも当時の女の子が
書いていたっぽいタッチで
ちょっと郷愁を誘いますね。
プロフィールに愛読書として
石坂洋次郎をあげているあたりも
時代を偲ばせます。
以下、B面のカバー曲のみ
タイトル(邦題)と創唱者
および日本語詞の書き手と
編曲者をリストアップしておきます。
01.ネイビー・ブルー
創唱:ダイアン・リネイ(1963)
日本語詞:漣健児 編曲:田辺信一
02.悲しき天使
創唱:メリー・ホプキン(1968)
日本語詞:みナみカズみ 編曲:高田弘
03.レモンのキッス
創唱:ナンシー・シナトラ(1962)
日本語詞:みナみカズみ 編曲:田辺信一
04.そよ風にのって
創唱:マージョリー・ノエル(1964)
日本語詞:漣健児 編曲:田辺信一
05.花のささやき
創唱:ウィルマ・ゴイク(1966)
日本語詞:音羽たけし 編曲:高田弘
06.夢みるシャンソン人形
創唱:フランス・ギャル(1965)
日本語詞:岩谷時子 編曲:高田弘
「みナみカズみ」というのは
「赤い風船」の作詞者でもある安井かずみが
訳詞をする際のペンネームです。
ご覧のように
こちらのブログでもふれてきた
フランス・ギャルによる
往年の名曲カバーが並んでいます。
またいずれも
洋楽カバーを中心とする
ヒットパレード系の番組で
森山加代子やザ・ピーナッツ
伊東ゆかりなどが歌ってヒットさせた
名カバー曲ばかり。
メリー・ホプキンの「悲しき天使」は
原曲はアイドル・ソングというより
メッセージ・ソングに近いのですけど
みナみカズみの日本語詞によって
恋を歌うフォークソングになっているため
違和感はありません。
南沙織や天地真理もカバーしており
浅田の声質が天地真理と似ている
と思わせなくもないだけに
なおさらです。
「そよ風にのって」のアレンジは
ウェスタン風な感じが
残っているのが嬉しいですね。
Wow Wow Wow という
女声コーラスもありますし
歌詞の「ワゴン」の部分も
ちゃんと「ワゴン」と歌ってます。
「花のささやき」の
イントロ部分のアレンジは
アグネス・チャンのバージョンに
近い感じがしますが
ベースの音階上がりは例によってカット。
♪私のこの目を見れば
あなたもわかるはずよ
という歌詞の部分を
「わたしーっのこーっの目を見れば」
というふうに
跳ねるリズムで歌っているのが
浅田バージョンンの特色。
そこはいいんですけど
他の歌詞の譜割りが
やっぱり気になったり。
「夢みるシャンソン人形」は
可もなく不可もなくという感じですが
歌っている感じに
小林麻美バージョンを
思わせるようなところが
ちょっとあるかな。
フランス・ギャルのカバーに限らず
全体的に素直な歌い方なので
パンチに乏しいのですけど
そこがアイドル・ソングの
アイドル・ソングたる所以でしょうか。
と、いろいろ書いてきましたが
結論として本盤は
アイドルが歌う
洋楽カバー・ファンなら
見逃せない1枚といえましょうか。
かなりニッチな分野かも
しれませんけれど。(⌒-⌒; )