ウィルマ・ゴイク『花のささやき』初リリース盤

(キングレコード HIT-1324、1966)

 

ウィルマ・ゴイクの「花のささやき」は

第16回サンレモ音楽祭入賞曲で

やはり入賞曲である

オルネラ・ヴァノーニ

「生命[いのち]をかけて」との

カップリングでリリースされました。

 

『花咲く丘に涙して』の時と同様

ヴァノーニとのカップリングになったのは

偶然なのか、何なのか分かりませんが

写真の印象では、やっぱり

ゴイクの方がアイドルっぽい感じがします。

 

 

ちなみに大賞受賞曲は

ジリオラ・チンクエッティと

ドメニコ・モドゥーニョが歌った

「愛は限りなく」です。

 

サンレモ音楽祭では

参加曲を2組のアーティストが歌う

というシステムを取っているらしく

アーティストが賞をもらうというより

曲に賞が与えられる

というものだったようです。

 

 

だとしたら

ウィルマ・ゴイクの歌を

誰か別の人も歌っていた

ということになるわけですが

そのもう一人の歌唱者は

Wikipedia のサンレモ音楽祭の項目に

アップされています。

 

そのもう一人の方のレコードは

少なくとも日本において

出ている様子はありませんね。

 

 

それはともかく

「花のささやき」の日本語カバーは

まず伊東ゆかりが

1966年4月にシングルを出して後

アルバム『小指の想い出』(1967)に

収録されました。

 

続いて

ザ・ピーナッツがカバーしたものが

シングル『愛は永遠[とこしえ]に』(1966.5)の

B面に収められた後

「ピーナッツのヒット・パレード VOL.6」

という副題が付いているアルバム

『ヨーロッパの旅』(1966)に

収録されました。

 

ザ・ピーナッツのリリースは

B面とはいえ

伊東ゆかりのリリースの

なんと1ヶ月後でして

ゴイクの盤が同年の何月に出たのか

分かりませんけど

当時のレコード事情はどうなってたんだ

これでみんな売れたのかね

と思わずにはいられません。

 

 

それから7年後には、なんと

浅田美代子のファーストアルバム

『赤い風船』(1973)に

収録されています。

 

当時、新人のファーストアルバムが

フル・オリジナル曲という構成は

少なかった(まず、なかった)

という事情があるとはいえ

浅田美代子で「花のささやき」か!

と、びっくりさせられますね。

 

その2年後には

麻丘めぐみのベスト盤アルバム

『ベスト・コレクション '76』(1975.11)に

収められたりしております。

 

70年代アイドルの

アルバムに収められるくらいには

曲自体がまだ現役であった

というのも驚きですけど

ディレクターの頭に

伊東ゆかりや

ザ・ピーナッツの記憶があって

アイドルならゴイク

という思いこみがあったのかも

とか想像したり。

 

 

その2年後の1977年11月、

アグネス・チャンが

カナダ留学時代に出した最後のアルバム

『カナダより愛をこめて』に

収録することになるわけです。

 

また、そこから

シングル・カットされたものも

同時にリリースされました。

 

シングル・カットされて

タイトル曲となるのは

伊東ゆかり以来ではないか知らん。( ̄▽ ̄)

 

 

『カナダより愛をこめて』は

2枚組のアルバムで

内1枚がベスト集だったこともあり

お金のない中学生だった自分は買う気になれず

その代わりに、といっては何ですが

シングル盤の方を買って

すり切れるほど聴きました。

 

アグネス・チャン『花のささやき』

(ワーナー・パイオニア L-183W、1977.11)

 

アグネスの前に

浅田美代子や麻丘めぐみが

カバーしていることは

最近、知りました。

 

当時は知らず

また、知っていたとしても

ウィルマ・ゴイクのカバーだと

気づかなかったであろうことは

「花咲く丘に涙して」の場合と同様です。

 

 

ただ、その後

ビールのCM(キリンのマインブロイ)で

ゴイクのオリジナルが

使われることになるのですけど

それを一度だけ目にしたというか

耳にしたことがあります。

 

聴いた途端に

「あ、アグネスの歌ってたやつだ、

 これがオリジナルか!」

と思ったのですが

当時はそれを調べる術もなく

ゴイクの曲だと分かったのは

やっぱり、つい最近のことになります。

 

ビールのCMで使われた際

ゴイクのレコードもリリースされており

それどころか

LPまで編まれたようですので

レコード屋に行って棚を見れば

すぐに分ったかと思います。

 

ただ、当時はレコード屋よりも

新刊書店や古本屋に

入り浸っておりましたので

ついに気づくこともなく……。

 

 

そのゴイクの再リリース盤というか

CMタイアップ盤とでもいうべきものが

下のレコードです。

 

ウィルマ・ゴイク『花のささやき』CMタイアップ盤

(キングレコード K07S-7014、1981.2)

 

カップリングが

「花咲く丘に涙して」ですから

当時、これに気づいていれば

アグネスがカバーした原曲が2曲とも

一発で分かっていたはずなんですけどね。

 

何事もご縁というものです。

 

 

伊東ゆかり、ザ・ピーナッツ

浅田美代子、麻丘めぐみ、アグネスの録音は

それぞれCD化されているので

聴き較べが簡単にできるんですけど

(ただし『赤い風船』のみ当方、未入手です)

音羽たかしによる日本語詞は同じながら

みんな微妙に譜割りが違っていて

違和感ありまくり。( ̄▽ ̄)

 

アグネスの歌で聴き慣れているので

やっぱりアグネスのバージョンが

いちばん自然に聞こえます。(⌒-⌒; )

 

 

アレンジにしても

ゴイクのオリジナルでは

イントロで流れるギターのフレーズが

たいへん印象的なんですけど

それが変にいじられておりまして

やっぱりオリジナルが、いちばん

出来が良いと思います。

 

伊東ゆかり版(東海林 修)では

ブラスと弦で交響曲風になっていて

オリジナルのイントロに

今ひとつ及ばない感じ。

 

エンディングは

ちょっと気が利いていますけど。

 

 

ザ・ピーナッツ版(宮川 泰)は

かなり再現度が高いのですけど

チャイム風の音が気になります。

 

チャイム風の音が醸し出す雰囲気自体は

アグネスのバージョンと

似ているかもしれませんけれど。

 

 

麻丘めぐみ版(神保正明)は

フルートに変えられていますが

これはフォークロアっぽい雰囲気があって

ちょっといいかも。

 

ただ、譜割りが耳にひっかかって

ものすごく気になるのが残念。

 

 

で、アグネス版のアレンジ(船山基紀)は

エレキ・ギターで処理しているのか

打ち込みなのかは分かりませんが

これは聴き慣れていることもあり

割と良いんじゃないかと思ったりして。

 

ゴイクのオリジナルで聴ける

ベース(かな?)が

ベンベンベンベンと

音階をあげていくあたりの響きが

アグネス・バージョンにはないのが残念。

 

このベンベンを再現しているのは

ザ・ピーナッツ盤だけのようなのが

ほんと、残念です。

 

 

ゴイクは後年になって

セルフ・カバー版を出しており

それは下のCDに入っています。

 

『花咲く丘に涙して』CD(セルフ・カバー版)

(KING RECORDS: KICP-8509、1999.12.23)

 

そのセルフ・カバー版でも

上記のベンベンが再現されておらず

初リリース盤で聴いて覚えていると

曲の印象がかなり違うので

ちょっと戸惑います。

 

セルフ・カバー版は

アレンジも今イチなら

歌い方もちょっと違っていて

軽やかに流す感じであり

初リリース盤が持っていた

朗々としていながら

はずみのある勢いの良さが

失われているあたり

やっぱり物足りない。

 

 

ですから

聴くならやっぱり

初リリース版なんですけど

そちらを収めたCDは

現在、品切れのようで

自分もまだ見つけておりません。

 

それを入手するまでは

まあ、レコードで我慢という

ところですかね。

 

 

ペタしてね

 

 

●訂正(当日23:30頃の)

 

浅田美代子のアルバム『赤い風船』は

CD化されていないと

誤解させるような書き方だったため

文章をちょっといじって

直しておきました。

 

ご容赦くださいませ。m(_ _ )m