(ワーナー・パイオニア P-10171A、1976.4)
オリジナル・レーベルは
アトランティックで
販売はフランスの
WEA filipacchi music です。
先に紹介した
ワーナー時代の劈頭を飾る
「愛の告白」を収録したアルバムの
邦盤(の見本盤)。
先の紹介の際、リリース年を
日本語盤 Wikipedia にしたがって
1976年と書きましたが
ジャケットの背中に
「マルP1975」とあります。
おかしいと思って
フランス語版 Wikipedia を
確認してみたら
1975年というのは録音年で
リリース年は
1976年1月6日となってました。
France Gall Database の
ディスコグラフィに拠ると
邦盤のリリースは
1976年4月で
1988年に再発されたようです。
上記ディスコグラフィに掲げられている
初リリース盤のタスキ(オビ)には
「新しい愛のはじまり」と
でかでかと刷られており
それが邦盤のタイトル
ということになりそうですが
再発盤では現行のものになった模様。
今回のブログは
初リリース時のLPの紹介なので
当時のタイトルを
採用しました。
ちなみに
「新しい愛のはじまり」というのは
A面の1曲目の邦題でもあります。
こちらは昨年
横浜のレコファンで
見つけました。
後期フランス・ギャルかあ
タスキもないし
どうしようかなあ、とか思いつつ
ライナーが付いていたのと
ジャケのスチールに惹かれて
買った次第です。(^^ゞ
でも聴いたのは
シングル盤の『愛の告白』を
入手してから。
ずいぶんと寝かせたものですが
針を落してみると
失礼ながら
思った以上に良い出来栄えで
びっくりしました。
プロデュースは
同年に結婚することになる
ミッシェル・ベルジェで
ピアノ演奏も担当しています。
レゲエやサンバ、ブルース
ロックやジャズなど
さまざまな音楽のテイストが
引用されていて
聴いていて飽きさせない
というだけでなく
ベルジェのピアノが素晴しい。
特にA面の
「恋人はどこに」と
「わたしのお家」の
ピアノが印象的。
「わたしのお家」は
6分にも及ぶ曲ですが
転調したり(たぶん)
テンポが途中で変わったりして
聞き飽きないだけでなく
途中、器楽ソロのパートがあり
ピアノ・コンチェルトの
ソロ・パートのような趣きさえ
感じさせます。
ベルジェの母親が
ピアニストであり
その薫陶を受けていることを
よくうかがわせる曲だと思いました。
あと
これもピアノが引用的な
B面4曲目の「歌は慰め」では
フランス・ギャルの
素の(?)笑い声などが
フィーチャーされています。
この頃のギャルの笑い声って
アイドル感があるし
プライベート感も出てるので
実にいい感じ。(^~^)
ライナーは
2ツ折り4ページ仕様で
内側がカラーになっており
こちらが原盤のライナーと思われます。
ただ、不思議なのは
そのライナーに
「愛の告白」の歌詞が
載っていないこと。
印刷ミスなんでしょうか。
そのためでもありましょうけど
日本盤ライナーの1ページ目
(下に掲げた写真の右下)に
歌詞の訳者(室谷あきこ)による
聴き取りでの歌詞が
載っています。
これはすごいというか何というか
日本らしいというか。
日本語のライナーには
歌詞の訳の他に
寺村敏という人の解説と
ワーナー・パイオニアの
洋楽担当者による
ギャル&ベルジェとの会見記が
掲載されています。
この会見記、
当時の2人の雰囲気を伝えていて
興味深いのですが
「実物の彼女はもっと綺麗だった!!」
という
煽情的な週刊誌の
見出しみたいなタイトルは
いかがなものか、と。┐(´∀`)┌ヤレヤレ
寺村敏の解説も
参考になるというか
フランス・ギャル受容のあり方を
よくうかがわせる内容に
なっています。
「少女の面影を残したまま
おとなになったことが良くわかる」
「歌声を聴いても
少女から脱し切っていない女性を
感じさせ」る
と書かれていますが
自分がこのアルバムをいいと思うのは
そういうあたりも
関係しているのかもしれない
とか思ったり。(^^ゞ
ちなみに
ファン・サイトの
フランスのニュースや
追悼番組の映像が
アップされています。
(「ギャル追悼16〜20」)
それを観ていると
Michel Berger の名前は
ベルジェ、ではなく
ベルジ、ないし、ベルジー(ル)
と発音されているように
聴こえるんですけど
最後の「ェ」は無音に近いのかしら。