『よき人に逢っての帰り』

(MISAWA Classics: CSD-6、1989)

 

ミサワホーム総合研究所が出していた

クラシックCDシリーズの1枚です。

 

ダンスリーのLP盤を紹介した際

唯一持っているCDと書いたのが

こちら。

 

皆川達夫の

『ルネサンス・バロック 名曲名盤100』

(1992)で

紹介されている1枚でして

中古で見つけた時は

たいへん嬉しかった記憶があります。

 

 

トルヴェールやミンネゼンガーといった

アマチュア吟遊詩人が歌った

宮廷風恋愛をモチーフとする歌曲が

収録されています。

 

基本的に単旋律歌唱でして

リュートやリコーダーなどを伴奏に

ノン・ビブラート唱法で

しっとりと歌われていきます。

 

久しぶりにライナーを読んでみたら

ヴォーカルの女性2人は

エマ・カークビーの講習会で学んだ

と書かれていて

なるほどカークビー譲りですか

と妙に納得したことでした。

 

ルネサンス声楽ファンなら

これだけで分かっていただけるかと。

 

 

時代背景や各楽曲についての

ライナーの解説は

たいへん詳しく、充実していて

読みごたえがあります。

 

あえて不満をいうとしたら

各楽曲の伴奏楽器が

何なのかが分からないことくらい。

 

 

ところで、上に

トルヴェールやミンネゼンガーを

アマチュア吟遊詩人と書きましたけど

どうやら貴族や騎士階級の人間が

詩を書いていたようでして

いわゆる放浪の吟遊詩人

というイメージとは

一線を画すような気もしてきたり。

 

皆川達夫の紹介文では

「吟遊詩人」という言葉が

使われていませんし

アマチュア吟遊詩人という説明の仕方、

やめた方が良さそうです。

 

 

MISAWA のCDは

以前、新久美の盤の時にも

紹介しましたが

 

『よき人に逢っての帰り』ジャケット仕様

 

タイトルを

ライナーの表紙に

印刷しているのではなく

別刷りになっています。

 

おシャレなんですけど

コスパは悪そうですね。( ̄▽ ̄)

 

 

ちなみに

洋語タイトルの Retour は

フランス語で

英語のリターンに相当します。

 

邦題の「よき人に逢っての帰り」は

14世紀フランスの音楽家

ギヨーム・ド・マショーの楽曲名で

原題は Quant je sui mis au retour です。

 

洋語タイトルは

上記マショーの曲名から

採られたものでしょうけど

だからといって直訳して

「帰り」というタイトルすれば

済むわけでもないでしょう。

 

リターンという言葉が持っている

いろんなニュアンスを

こめているのだと思います。

 

どんなニュアンスがこめられているのか

考えてみるのも一興でしょうね。(^_^)

 

 

 

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