『ゴジラ全映画DVDコレクターBOX』VOL.14

(講談社、2017年1月24日発行、2巻2号、通巻14号)

 

以前ディアゴスティーニから
『東宝特撮映画DVDコレクション』という
分冊ものが出ていました。

 

『ゴジラ全映画DVD

コレクターズBOX』は
それと似ていますけど
公開当時のパンフやプレスシート
ポスターや雑誌特集記事などを
復刻したものが付いてくることが
特徴といえるでしょう。

 

『ゴジラ全映画DVDコレクターBOX』VOL.14(内側)

 

あと、DVD各巻に特典映像として
『行け!ゴッドマン』(1972〜73)と
『ゴジラアイランド』(1997〜98)が
収録されていることも
大きな特徴ですね。

 

ゴッドマンの方は当初
東宝怪獣と絡む回だけ収録
ということでしたが
今ではコンプリート収録を
謳っています。

 


そんなこんなで
この手の企画、何度目だ
とか思いつつ

ディアゴスティーニのは

途中で挫折して揃えきれなかったため
今度こそは、という思いもあって

VOL.1 以来
地道に買い続けていますが
DVDの方は観ないまま

積み重ねてました。(^^ゞ

 

ゴジラが出てこない
『空の大怪獣ラドン』や
『海底軍艦』が配本されたときは
なぜ? と思ったものです。
 

ゴジラ映画にゲスト出演したものも
出すってことか、と考えつつ
ますますディアゴスティーニのと
似てきたなあと思ってたのでした。

 

 

ところが今回なんと
『ゴジラ』(1954)を再編集して
新撮部分と組み合わせた海外版
『怪獣王ゴジラ』
Godzilla, King of the Monsters!
(1956/1957年日本公開)が出て
びっくりさせられました。


自分の知る限り
『怪獣王ゴジラ』の単体DVD化は
国内初ではないかと思います。

 

にも書いたことがありますけど

初代ゴジラの40周年を記念して
アニバーサリースペシャルボックスが
レーザーディスクで出た際
『怪獣王ゴジラ』を収めたディスクも

同梱されていました。

 

清水の舞台から飛び下りるつもりで
買ったものでしたが
それが2000円弱で買える時代が来るとは
思いもよらず。

 


そんなこともあって
懐かしいので
今回ばかりは積んだままにせず
さっそく映像の方を観てみました。

 

たぶんリマスタリングされていないので
ところどころ
クリアとはいえない映像もありますが
60年前の映画だと思えば
こういうものでしょう。

 

そう!
よくよく考えてみれば今年は
日本凱旋興行60周年目の年に
あたるわけです。

 

改めて、びっくりですね。

 


レイモンド・バー演じる
アメリカ人記者が
取材旅行の途上
友人の芹沢を訪ねて
日本に立ち寄ったところ
ゴジラ事件に巻き込まれる
というストーリー。

 

オリジナル版を
どうアレンジしているのか
というのが
観どころのひとつであることは
いうまでもありません。

 

山根家でのやりとりや
通勤電車内の会社員の会話など
オリジナルで描かれる
日常生活風景がカットされている分
怪獣映画として
より正統的、というか
ストレートな作りになっているのが

大きな特色です。

 


今回、観直して興味深かったのは
国会議事堂を破壊するシーンがなかったことと
(議事堂前まで迫るところでカット)
そして、子どもたちを抱いた母親が
「もうすぐお父様のところへ行けるのよ」
と言うシーンが残されていることでした。

 

後者については
初めて1954年版の映画を観たとき
意味がよく分からなかったのですが
夫に死なれて生活苦に喘いでいる妻の
一家心中を意味するカットだと

後に教えられて
腑に落ちた記憶があります。

 

戦争の悲惨さを示す
あるいは
戦争はまだ終わっていないことを示す
挿話的カットであるわけですが
そういう結果を招いた国が再編集する映画で
上記のようなカットを残すあたりは
アメリカの真骨頂という感じがしますね。

 

少なくとも
当時のアメリカの

映画人のセンスというものを
垣間見せているように思います。

 


ミステリ・ファンには
ヒッチコックの『裏窓』(1954)でも
お馴染みの
レイモンド・バー。

 

『怪獣王ゴジラ』のすぐ後ぐらいに
ペリー・メイスンを演じ
さらに後になって
アイアンサイド警部を演じることで
日本でも人気を博すことになります。

 

また1984年版の『ゴジラ』では
同じ役柄で再登場したのだとか。

 

その意味でも
また資料的な意味でも
今回の『怪獣王ゴジラ』は
マニアなら必見だと思う次第です。

 


なお、特典映像の方は
『行け!ゴッドマン』を
観てみました。

 

「ゴッドマン対モモングラー」と
「ゴッドマン対ボルペス」の2本立て。

 

『行け!ゴッドマン』は
主題歌はさんざん聴いて

歌えもするのですが
映像を観るのは今回が初めてです。

 

『おはよう! こどもショー』
(1965〜80)内で
1972年10月から
翌年の9月にかけて放送された
1話5分の帯番組なので
なんとなく
『ウルトラファイト』(1970〜71)
みたいなもの
と思っていたのですが
あたらずといえども遠からず。

 

『ウルトラファイト』のように
ナレーションが入らないので
まとめて観ると、かなりつらい
というのが正直な印象ですけど
まあ、観る必要が出てきたら
いつでも参照できるというだけでも
ありがたいことです。

 

 

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