『OSTINATO〈オスティナート〉』
(キングレコード K32X-7073、1986.12.21)

発売年月日のデータは
手許のCDの表示と
以下のページを根拠としました。

http://plaza.rakuten.co.jp/itoyaonline555/diary/200806100000/

上のページでは
初版以外のバリエーションまで
すべてフォローされていて
参考になります。


最初、横浜のディスクユニオンで見つけて
オスティナートというタイトルに
惹かれたのですが
帯がなかったので買わず
帰ってから検索して調べてみたら
『東宝特撮未使用フィルム大全集』のため
オリジナル・スコアに基づき
録音し直したものだと分かりました。

タイトルの前後に
「東宝特撮未使用フィルム大全集
 /サウンドトラック」
と付くのは
そのためです。

オスティナートというから
てっきりそれ系の
通奏低音がガンガン響く曲ばかり入ってて
伊福部音楽のオスティナート考
みたいな内容のライナーかと
思っていたのですが
ごく普通の(というと語弊があるかな?)
BGM集だったわけです。


その後、しばらくして
御茶の水駅そばの
ディスクユニオン・クラシック館で
オビ(タスキ)付きを見つけて
購入した次第です。

レーベルは
キングのスターチャイルドなので
クラシック館にあるのも変なのですが
伊福部昭だからこそ
そういうこともあるのです。

この頃のオビ(タスキ)は
プラスチック・ケースに
貼り付けてあるタイプのもので
バロックのCDを買った中にも
キングのものでこういうのありますけど
なるほどオビは残りにくいか、と
腑に落ちた次第です。


本CDの特徴は
オリジナル・スコアに基づいて
すべて演奏し直している点で
オリジナルの編成による
オリジナルのテンポでの
演奏だというところです。

テンポがスコアに書いてなくとも
作曲者が録音に立ち会っているので
かなりオーセンティックな演奏に近い
というのが
個人的にはツボです。


オリジナルのスコアが
発見できなかった楽曲もあるため
オリジナル音源から
楽器編成などを推察して
入れ直したというのも
何曲か混ざってはいるものの
オリジナル音源が劣化したものは
本CDの演奏で
面目を一新したわけです。

ライナーによれば
『空の大怪獣ラドン』のBGMは
面目を一新したみたいですね。


面目を一新したといえば
「怪獣総進撃マーチ」をはじめとして
マーチ系の楽曲は
記憶にあるものより
かなりテンポが遅い感じがしました。

「怪獣大戦争マーチ」は
比較的、記憶やイメージに近い感じ。

唯一の例外は「宇宙大戦争マーチ」。
これはめちゃくちゃ早いです。

こうしたテンポ
特にゆっくりとしたテンポの曲は
作曲者が戦争体験者であるだけに
アジア・太平洋戦争時の
日本人のテンポ感を偲ばせて
興味深くもあります。


東宝特撮映画のBGMは
『サンダーバード』のそれよりも
わりと耳に馴染んでいます。

映画を観込んでいるわけではないので
映像がすぐに浮かぶわけでもないのですが
聴いていて
懐かしかったり
心躍ったりするものが多いですね。

特に
「メーサー殺獣光線マーチ」や
「特車隊マーチ」などの
マーチ系は心地よいです。


いわゆる組曲的な
まとまりのある編集は
されていませんけど
『SF交響ファンタジー』が
すでにあるわけですし
(本CDはその3年後の企画です)
個人的には
素のままの素材だけという構成は
気に入ってます。

こういうCDを聴いていたので
『サンダーバード 音楽集』の感想は
やや否定的な感じになったのでした。


こういう劇伴音楽集では
曲名の他に、ないしは代わりに
M-1 とかナンバーが振られているのを
この手のCDを買ってライナー見ると
よく目にします。

『OSTINATO〈オスティナート〉』でも
うるさいくらいに細かくふれてます。

もっとも、そういう細かさは
嫌いではありません。

で、『サンダーバード 音楽集』の場合
そういう表記は
いっさいありませんでした。

スコアの表示通りのタイトルかどうかも
ライナーではふれてなかったですね。

イギリスと日本ではシステムが違い
バリー・グレイのスコアに
Mナンバーがないのかもしれませんけど
『サンダーバード 音楽集』のライナーは
そこもちょっと気になったのでした。


『OSTINATO〈オスティナート〉』について
苦言を呈すなら
各楽曲の楽器編成を
ライナーに記してほしかった
ということでしょうか。

演奏者も、いわゆる
スタジオ・ミュージシャンなんでしょうけど
プロデュースに関係した
ピアノ奏者しか分からないというのは
どうかと思った次第です。

ちなみに指揮者は熊谷弘で
自分はよく知りませんでしたが
Wikipedia にも項目が立っている方でした。


なお
本CDの演奏が使われた
『東宝特撮未使用フィルム大全集』
というビデオ・ソフトは
現在
『ゴジラ DVD コレクション』の
第2巻(2008)に
特典ディスクとして
収められているようです。


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