『サンダーバード 音楽集』(広上淳一指揮)
(日本コロムビア COCQ-85289、2016.4.13)

2003年に発見された
バリー・グレイによる
オリジナル・スコアに基づく
『サンダーバード』の
BGM音楽集です。

発見当時にイギリスで録音され
それが日本で発売されたことも
あったようですが
それ以来の録音なのだとか。

タワーレコードなど
ショップのジャンルとしては
クラシック扱いで
というのも
単なるBGM集ではなく
編集して組曲仕立てにし
広上淳一の指揮によって
東京ガーデンオーケストラの面々が
演奏しているから。

広上淳一は
伊福部昭の
『SF交響ファンタジー』全曲録音でも
棒を振っていた人ですね。


特撮系の音楽のファンは
オーケストラで演奏されることに
感動する人が多いようですけど
自分がこのCDを購入したのは
バリー・グレイの
オリジナル・スコアに基づくというのが
ポイントでした。

オリジナルの編成で
オリジナルのテンポで(あろう)
というのに惹かれたわけです。

ところが
ライナーを読んでみると
音の厚みを増すために
金管を増やしているようで
ちょっとがっくり。


CDの録音に先立ち
2015年の4月に開かれた
三鷹のコンサート・ホールでの演奏が
先行したようです。

その三鷹のコンサートは
2008年にイギリスで開かれた
バリー・グレイ
生誕100周年コンサートの
プログラムを
ベースとしているようで
そのバリー・グレイの
生誕記念コンサートでも
演奏されたなかった
「火星ロケット輸送車」と
「トレーシー島」は
三鷹のコンサートが
世界初・初演なのだと
ライナーには書いてあります。

ただ本国では
発見されたスコアに基づく
2枚組みのCDが出ています。
(その後、日本では
 未発表音源も加え
 3枚組みでも出ました)

したがいまして
今回のCDの売りは
クラシック風に編成された
4つの組曲をベースとする演奏としては
世界で2番目というところに
なるわけでしょうか。


それにしても
組曲に編成したアレンジャーは
誰なんでしょうね。

どこにも書いてありません。

伊福部の『SF交響ファンタジー』のように
オリジナル・スコアを並べ替えて
作品として再構成したわけではなく
番組の流れ通りに
スコアを並べただけだから
アレンジャーはいない
という扱いなんでしょうか。


『サンダーバード』の音楽は
曲を聴いて
あの場面だと想起するほど
聴き込んでいるわけでも
映像を観つくしているわけでも
ありませんので
「サンダーバード・マーチ」以外は
馴染みのある曲はないのですけど
これは、と
ピンポイントで突いてくる
フレーズがあるのは
さすがオリジナルの力
というところでしょうか。

「スポーク・シティ・ジャズ」とか
「イージーリスニング・
ラジオ・ミュージック」のような
劇中のラジオから聴こえてくる曲が
妙に魅力的に感じるのは
時代の風合いのようなものを
聴き取ることができるから
でしょうかね。


日本版ならではの
ボーナス・トラックとして
日本語の歌詞が付いた主題歌が
コロンビア所属の
IL DEVU(イル・デーヴ)と
TOKYO FM 少年合唱団によって
新しく演奏されています。

もっとも
オールド・ファンというのは
オリジナル信奉者が多いでしょうから
(自分もその毛がありますw)
評価は賛否分かれそうですけどね。

それとやっぱり
ライナーに歌詞を
載せてほしかったです。


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