
(中央公論新社、2012年9月10日発行)
自分は
映画『はなくじらちち』を観るために
渋谷に行った際に寄った
BOOK-OFF で見つけました。
そのあと
今年の2月に
文庫化されたばかりだと
知りました。( ̄▽ ̄)
ヤマハの会員情報誌
『音遊人(みゅーじん)』に
連載されたものへ
書き下ろしを加えて
1冊にしたものです。
ヤマハの雑誌ということで
ドビュッシーのピアノ曲だけを取り上げたと
あとがきには書かれていますが
ピアノ曲にふれるだけでなく
未完のオペラ『アッシャー家の崩壊』や
『牧神の午後への前奏曲』などにも
言及されています。
以前、こちらで紹介した
『ドビュッシー
想念のエクトプラズム』よりも
軽いタッチで書かれていて
あちらをステージ衣装に喩えるなら
こちらはぞろっぺいな着流しという感じ。
それでも内容自体は
研究と演奏の成果を反映していますので
サクサクと読み進めるうちに
ドビュッシーの音楽について
それなりに深い理解を得られます。
そういう意味では
好著といえるでしょう。
『想念のエクトプラズム』では
言及していなかったエピソードについても
書かれています。
中でも面白かったのは
スペインの作曲家ファリャが
ドビュッシーに会いにいったとき
尊敬する作曲家の前で緊張して
「ずっとフランス音楽が好きでして」
と言ったときの
ドビュッシーの返答。
また
ピアニストのアルフレッド・コルトーが
ドビュッシーの愛娘シュシュの前で
『子供の領分』を演奏して
「お父さんと同じぐらい上手だろう?」
と聞いたときの
シュシュの返答も面白い。
上にあげた内容からも分かる通り
エピソード中心の書き方なので
入りやすいですね。
『名曲探偵アマデウス』や
『題名のない音楽会』に出演したときの
裏話なんかも書かれています。
『題名のない音楽会』は
あいにくと観た記憶はありませんが
『名曲探偵アマデウス』は
観ているだけでなく
録画したはず。
ちょっと探してみましょうか。
本書については
ドビュッシーのピアノ演奏を
CDで聴きながら
関連項目を読むと
最もよく楽しめるかと思います。
まずはドビュッシーに親しみたい
という方に
ぴったりの1冊ですね。
