
(奇想天外社、1979年11月20日発行)
今日も今さっき地震がありましたが
こちらは先日の地震の影響で
落っこちてきた一冊です。
幸い、ハードカバーなので
表紙が曲がるなどの被害は
受けませんでしたけど。
むかし、高田馬場の
BIG BOX の古本市で
購入したものですが
読み通したのは
今回が初めてだったりします。
後に集英社文庫から再刊されましたが
そちらは持ってません。
購入したのは、もちろん
都筑道夫のファンだったからですが
この本が出た当時は
現在のように
古い映画がDVDで簡単に観られる
という時代ではありませんでしたので
本の中で触れられている映画を
ほとんど観ていないこともあり
読まずにきたものと思われます。
今回、読み通せたのは
古い映画が比較的
簡単に観られる環境が
整っているからでしょう。
ある意味、DVD購入ガイドのような
性格を持つようにもなったわけで
だから読めたというのが、ひとつ。
たとえば『エイリアン』(1979)は
宇宙船の中だけで終わる
『原子人間』(1955)である
と書いてあっても
昔なら、へえー、と思って
それきりでしたけど
今では Amazon で検索すれば
簡単にDVDが入手できますからね。
まだ注文してませんけど。f^_^;
本書で取り上げられている
『新シャーロック・ホームズ、
おかしな弟の大冒険』(1975)というのは
先ごろDVDになったので買いました。
まだ観てませんけどね( ̄▽ ̄)
都筑の紹介によると
シガーソン・ホームズという名前の
無名の弟が出てくるそうですけど
「シガーソン」って
ドイルの原作のホームズが
ライヘンバッハの谷に落ちてから
ロンドンに戻ってくる3年間
いわゆる大空白時代に名乗っていた
ノルウェーの探検家「シゲルソン」の
英語読みでは?
とか気づいたりするのも
楽しかったです。
あと、意外と
ミステリ映画の感想が多かった
というのが、ひとつ。
この本で取り上げている映画が
上映された時期は
自分も割とミステリ映画を観てたんだなあと
しみじみしてしまいました。
『ナイル殺人事件』(1978)の評では
原作は「長ったらしい上に矛盾があって、
私は好きではないけれども(略)
メロドラマとしての価値はある」(p.192)
と書いてあって
おやおやと思ったり。
今回の本を読んで思うのは
取り上げられている映画が
面白いかどうかという興味だけでなく
都筑がどう誉めているか(貶しているか)
というのが興味深く読めるわけでして。
要するに対象を誉めるとき
どこに注目して誉めるか
という書き方、手つきを意識することで
作者である都筑の
ものの見方・考え方が分かるだけでなく
それを自分のものにして
自分のものの見方・考え方を
相対化することができるし
鍛えていくことができる
という感じかなあ。
何を今さら、といわれそうですが。f^_^;
特に、一般的には評価の低い作品を
都筑がどういう視点から誉めるか
というのが楽しいわけでして
『エクソシスト2』(1977)は傑作だ
というのも、そのひとつ。
知り合いのホラー評論家も
『エクソシスト2』を誉めていたなあ
とか思い出したりして
なお興味深い。
巻末に、題名索引として
当該映画の
簡単なデータが添えられているのも
DVD購入用ガイドとして使えて
なんかトクした感じでした。
もっとも、もう手に入らない作品や
未だにDVD化されてない作品も
ありますけどね。
都筑が面白いといっている
有名なマドレイン・スミス事件に基づいた
『マデリーン 愛の旅路』(1950)なんかは
DVDが、ないみたいだし。
……とか思って検索してたら
今年の12月に出ることが分かりました。
わ、これは買わなくちゃ!
こんな偶然って、あるんですねえ(しみじみ)
