世田谷の三軒茶屋にある
シアタートラムで行なわれている
舞台『不道徳教室』の
東京公演11日目・通算14回目を
観てきました。

黒川さんが出演されているということで。


東京公演に先立って
神奈川芸術劇場で
5月29日から6月4日まで
全8公演が行われていましたが
そちらは残念ながら
諸般の事情で都合がつかず
観にいけませんで
東京公演は
6月8日が初日だったのですが
こちらも諸般の事情で
本日の公演のみの鑑賞と相成りました。

シアタートラムのアクセスを確認したら
先日、Ticori's fairground が出演する
ライブに行くために乗った
東急世田谷線の三軒茶屋駅を出て
すぐのところでした。おやおや。

それで「トラム」というんですね。
(トラムとは、路面電車のことです)

下の写真の左方向(男性2人が
背中を向けている方向)が
世田谷線・三軒茶屋駅改札です。

$圏外の日乘-シアタートラム外観

円い塔のような部分(キャロットタワー?)の
左手をぐるっと入っていったところが
シアタートラムの入口になります。

$圏外の日乘-シアタートラム入口

神奈川芸術劇場は行ったことありませんが
大スタジオとありますから
舞台は広かったんでしょうね。
それに対してシアタートラムは
ほんとに小劇場という感じの
こじんまりとしたハコでした。

自分がチケを買ったときは
ほとんどの席が埋まっていて
本日で取れたのは
中央ブロック最後尾の上手寄り。

作劇上の演出で
出演者が中央ブロック最後尾から
上手側の通路を舞台まで歩くことがあり
黒川さん演じるリカコも通路を降り
途中でライトアップされて
舞台上の、大森南朋演じる
現代国語の教師・山城を見る
という場面がありました。

出は真っ暗な中で
通り過ぎてから分かるわけですけど
何となくドキドキしたことでした。


脚本は岩松了。
以前、黒川さんが出た
『シダの群れ』を書いたのと同じ人で
今回は教頭先生の役で
役者としても舞台に立っています。

パンフレットによれば
川端康成の『みずうみ』に
インスパイアされて
書かれた脚本なのだとか。

だから、というわけじゃ
ないでしょうが
非常に話の内容が掴みにくい
不条理劇というか幻想劇というか
そんな雰囲気を漂わせた舞台でした。


黒川さんがブログで
文学的だと書いていて
ほほう、と、ちょっと上から目線で
構えて観ていたのですが
(だって大学は文学部だったし【苦笑】)
まんまと頭の中に疑問符を
飛び交わせるはめになりました。

パンフに載っている出演者インタビューで
二階堂ふみが、岩松了から
「(お客さんに)追いつかれたらだめ、
置いて行かないと」と言われた
と話してますが
まさに置いてかれた感じです。

時間の流れが何の説明もなしに前後するので
戻ってきたよというサインはあるものの
実際の時間軸に沿って
話を頭の中で組立て直すのに
ちょっと手間取ったりしたのも
話の理解を難しくしてるかも。


台詞のやりとりは
軽妙ながら思わせぶりで
会話のやりとりでも
今話している台詞のやりとりの中に
少し前の台詞に応じたものがあったりして
これは一回観ただけじゃ分からん
と思わされたことでした。

その代わり実に密度の濃い空間が
現出していた気がします。


黒川さん演じるリカコは
リラクゼーション・ルームの店員
というかマッサージ師。
まあ、男性向けの、その手の仕事ですね。

冒頭の場面から
いきなり山城と絡むシーンで登場しますが
(いわゆる「絡み」というやつでは
 ありませんので。念のため)
やあ、クスクスと笑う声が実に印象的でした。

黒川さん曰く
「語られる言葉が普通の会話とも
ふだんのドラマや映画の台詞とも
違います」とのことですが
自分的に言い換えればあれは文学の
あるいは小説、ないしは演劇の言葉ですね。

計算しつくされていて
無駄がない感じというか。

リラクゼーション・ルームでの
山城とのやりとりは、観ていて
スタイリッシュで気持ちよかったです。


女子高生を演じた人たちは
それぞれにすごく有名な人たちのようですが
そういうのに疎い自分には
パンフを読んでそんなものかと
思うくらいでした。

これを称して「猫に小判」という(苦笑)


こちらがパンフ。

$圏外の日乘-舞台『不道徳教室』パンフ

学校が舞台なのに合わせたデザインで
一見するとパンフに見えないですね。

巻末には
岩松了と高橋源一郎の対談が
載っています。


こちらは、原作戯曲が掲載されている
『悲劇喜劇』2013年7月号です。
岩松了特集号でもありました。

$圏外の日乘-『悲劇喜劇』2013年7月号

『ミステリマガジン』と
同じ版元が出している雑誌ですが
買ったのは初めてかも。


14:00開演で閉演が16:00。
およそ2時間程度の長さ。

徹夜で採点をしあげて
それを届けた帰りだったのですが
特に眠くなることもなく
観通すことができました。

最後は役者が並んで頭を下げるだけで
カーテンコールなどもなく
あっさりしたものでした。

もう1回くらい観たい気がするけど
諸般の事情で無理っぽいです。とほほ。