
(ワーナーミュージック・ジャパン WPCS-4396、1995.1.25)
バロックの演奏家として知る人ぞ知る
トン・コープマンと、
その夫人ティニ・マトーによる演奏で、
録音は1993年11月のアムステルダムのヴァルセ教会です。
ティニ・マトーは、前に紹介した
3挺のギターによるブランデンブルク協奏曲の
第5番でチェンバロ・パートを担当した
ティーニ・マトゥと同じ人です。
ギター版ブランデンブルクのライナー(1998)では
コープマンの高弟と紹介されてましたが、
こちらのライナー(1995)では夫人となってます。
まさか離婚したわけじゃないでしょうが(苦笑)
録音年度から鑑みて(ギター版は1985年録音)
弟子を夫人にした、というところでしょうか。
あだしごとはさておき、
バッハの『フーガの技法』には、一部を除いて
指定された楽器はありません。
そこで、チェンバロ独奏版からオルガン独奏盤、
オーケストラ版まで
いろいろな演奏があるのですが、
コープマンはチェンバロの二重奏と解釈
したのみならず、出版譜の付録を除く全曲を
CD1枚に収めちゃったわけです。
(かつてはCD二枚組が多かった)
これが出るまでは
レオンハルトの独奏盤2枚組を
よく聴いていたのですが、
これが出てからは
こちらを割と聴くようになりました。
1枚ですむということもありますが、
レオンハルト盤では収められていない
未完のフーガも録音されているからです。
『フーガの技法』というのは
バッハの白鳥の歌と目されていて、
最後のフーガを作曲中に死んだという物語が
まことしやかに伝えられてきたわけです。
(自筆譜にバッハの息子
カール・フィリップ・エマニュエルの手で
そう書いてあったこともあり)
近年ではそれが誤謬だと証明されていて、
未完のフーガも未完故に
省略されることが多かったんですが、
コープマン盤はちゃんと録音していて
それが個人的には、いっとき
ポイント高かったのでした。
(その後、未完のフーガを収めた
レオンハルト盤も手に入れましたが、
それについては別の機会にでも)
で、今回のCDですが、
コープマンにしては癖の少ない演奏で、
実はそこが良かったりします。
さくっと全体を押さえるには
おススメのCDになりますかね。
その後、廉価版が出ていて、
今なら新譜の時の
3分の1の値段で買えます。