
(右:集英社 クイーンズコミックス、2011.3.20)
左:同上 りぼんマスコットコミックス クッキー、同上)
先日、確定申告に行った帰りに
開いてたビルの新刊書店に立ち寄ったら
平積みになっていたのを見て、
自然と手に取って購入していました。
どんなに本が崩れる目にあっても
新刊を見ると買ってしまうのは、
それも綺麗なのを選って買ってしまうのは(^^;
なぜなんでしょう……
それはともかく、
谷川史子は、『りぼん』本誌初登場作の
「きみのことすきなんだ」(1990)から
お気に入りの作家です。
読んだのは雑誌ではなく
コミックスで、ですが(^^ゞ
コミックス刊行当時(1991年)、
『ぱふ』だったか
『コミックボックス』だったかの
書評欄に紹介されていて、
絵柄も好みだったので買いました。
最近は、性描写のない
レディースコミック系の雑誌や
(ジャンル名がよく分かりません。
青年系? ヤング系?)
青年誌にも描くようになっていて、
というのは以前にも紹介した通りですが、
今回同時刊行の2冊は
コミックスの系列から分かる通り
『吐息と稲妻』がティーンズ系の恋愛もの
(表題作は大学生が主人公ですが)
『他人暮らし』が性描写のないレディコミ系の
恋愛ものが収められています。
両方ともめっちゃいいです。
『吐息と稲妻』収録作品では
「雪の女王」がいちばんのお気に入り。
「おさななじみだと思って
なめんじゃない…」
という吹出しの台詞や、
物語の最後のモノローグ、
絶品です。
ただし、自分的には『他人暮らし』が好みです。
少女まんがには、
3~4人くらいで共同生活している女の子たちの
各1人に焦点を当てたエピソードを積み上げていく
という、共同生活もの
とでも呼べるようなパターンの作品があって、
社会人として生活している同級生たちが
ひょんなことから同居するようになるという
『他人暮らし』もその例に漏れないんですが、
その大人版であるだけあって、
他者との関係構築のあり方が
テーマになっているあたりが好みなのです。
第1話「純花」に登場する純花は
夫との共同生活が耐えられずに離婚した
という経緯を持つ女性で、
「ひとり」が嫌いじゃないし
我慢できないわけでもない
というキャラクターになっています。
近年の秀作『おひとり様物語』(2008~)を
彷彿させる設定ですね。
そこへ友人たちが転がり込んできて、
自分の生活ペースやスタイルが乱され
キレてしまう、という展開に、
自分も一人暮らしが長いだけあって、
深く共振してしまいました(^^;ゞ
第2話「頼子」は
出版社勤務のキャリアウーマン、
第3話「サワ」は
新婚の相手から逃げてきた専業主婦で、
この第3話なんて、
女性の結婚に対する本音と
その本音に対するバランス感が描かれる
コマの台詞のやりとりが面白かったです。
余震や新たな本震が続いて
不安な日々ですが、
この2冊を読んで、すごく気分が晴れました。
また、『他人暮らし』に入っている
ノン・シリーズ短編「秋雨」に
込められているモチーフは
(あとがきの「告白物語」に書かれています)
今このとき、親しい人を失った人には
慰めになる考え方ではないかと
思ったことでした。
たいした被災もせず暮らしているからこそ
いえることなのかもしれませんが……