リハビリテーション・ミュージアムⅣ
レンブラントのフロアには「夜警」のほかにも大作がいくつもの
軒を並べています。
ここはB2「モネの大睡蓮」とは対角にあるバロックエリア取付きのブース。初っ端はカラバッジオのお部屋ですが、目に飛び込んだのが「夜警」。じっくり拝観のあと、ふと目をやれば印象的な絵に出逢いました。
あまりに衝撃的なシーン釘付けになりました。綺麗なものを紡ぐのが美術だと勘違いしていた。確かにこの絵も美しく描かれているが、美しすぎて裸なのにシュールレアリスムを纏っています。
「テュルプ博士の解剖学講義」というレンブラント出世作とされる1632年の油彩。オランダハーグのマウリッツハイス美術館所蔵。
レンブラントが制作したはじめての集団肖像画。
アムステルダムの外科医組合の注文によるもので、年に1度行われた解剖学の講義のようすを表している。この時代はギルドの組織化が進み、組合の集団肖像画がもてはやされたようです。
腕の筋肉を持ち上げて講義をするニコラス・テユルプ博士の言葉に熱心に耳を傾ける7人の外科医たち。彼らの名前は、画面奥の男性が手にする紙に記されている。
レンブラントは背後の男性を立たせることにより、注文主を狭い画面に均等に描くという課題を克服している。当時の解剖は、腐敗を避けるためにも腹部から行うのが通例であったので、本作のような場面は、レンブラントの創意によるもの。それはまた、なまなましい描写を避けるための工夫でもあったといいます。
テユルプ博士はのちにアムステルダムの市長を4回も務めた名士。ただひとり上層市民の象徴である帽子をかぶっている。
手許をのぞき込む人、博士の声に耳を傾ける人が表情豊かに描き分けられる。その表情には、驚嘆や尊敬といった個々の人物の感情が浮き彫りにされている。
さまざまな表情や感情をひとつの空間内に調和をもって纏める。それが、レンブラントの集団肖像画におけるたくみな表現である。
組合の権威を示すために描かれた集団肖像画において、この統一された空間は、外科医組合の威厳をさらに高めています。