メキシコの季節が逝く
昨日のドル円の約2円という大幅な下落は、奇しくも、2月8日に内田日銀副総裁が奈良県金融経済懇談会で政策変更後の姿を明確にしたことを受けた約2円の急騰と同じレベルでの動きとなりました。
そもそも、米系マクロ勢や中東勢などに代表されるような世界中のソブリンファンドが長年アンダーウエイトにしていた日本株への投資を見直しているなかで、決め打ちで日経平均先物を買い上げたきっかけが、マイナス金利解除やYCC撤廃または変更後の金融政策の方向性がはっきりしたからやね。
例えば、マイナス金利解除後は、無担保コールの誘導目標を導入前の0.00-0.10%に戻して、実質上、0.1%の利上げになるだけでそこからどんどん利上げをしていくことにはならないことを確認したからであって、解除の時期が3月だろが4月だろうが、彼らには「大した問題ではない」のは明らか。
昨日のドル円の急落も、欧州時間までは、日経平均先物に本日のメジャーSQを前に、様々な思惑による売りがまとめて持ち込まれたことによるもの。40000円のオプションの設定が桁外れに多かったことによる乱高下に伴う売りが一番の要因でした。NY市場に入ってからは、米長期金利の低下も手伝ってドル円も安値を付けたもののその後は米金利が上昇に転じたことから買い戻されたとのこと。
この動きの中で日銀が3月会合でマイナス金利を解除するといった思惑から売りも出ているわけだが、あくまでも「短期投機筋による囃し」に過ぎず、本筋がどちらにあるのかは明白。本日の東京市場で米系短期が昨日安値を下抜けて売り仕掛けたものの、フォローをする動きがなかったことにもつながっています。
『実質賃金の上昇率=名目賃金の上昇率-消費者物価の上昇率』の関係式から、日銀のマイナス金利そのものがマイナスの実質賃金の要因となっていることが窺える。
まずは頼みのドル円ですが、一部の日銀メンバーが3月の会合で
マイナス金利解除が妥当という意見を表明というニュースが伝わり円買いが強まったところにパウエル議長が年内にも利下げするかもねという発言をしたことでドルが売られる展開になっている。
パウエルFRB議長の議会証言原稿や質疑応答の内容が「ほぼほぼ想定内」となると「もう少しタカ派的な発言があってもよかった」との声も聞かれるなか、米10年債利回りが4.0768%まで急低下。ドル円も一時147.10円まで売り込まれることになりました。
大局的には日本が利上げ、米が利下げという流れですので、ドル円に関しては上げたところで売りというスタンスで売買が成立か。
日本銀行が超金融緩和政策を早期に調整するとの観測が強まる中、日本株の円相場に対する感応度は過去2年間で最も高まっている。このまま円高の勢いが続けば、日経平均株価が史上最高値を付けた株高の流れが失速するリスクがある。
筆者は、マイナス金利の解除正直言ってもう少し後になってから出てくると思っていたが、3月解除の観測が高まってきていることで予想より早く始まっている。これから19日までは、非常に不安定な動きになってくると考えられる。
先週までは、ドル円は150円台でもみ合ってから徐々に上に抜けていくと予想していたが、これは修正せざるを得ない。まだ、ドル円が上昇するシナリオは捨ててはいないが、足元は円高バイアスがかかってくることを想定して修正をしたい。
日経平均は3月のメジャーSQを前にしてかなりの思惑的な動きとなっていることは明らか。これだけ急速に上げてきているとあって調整の動きも急となっているといったところ。オプション絡みでの動きもあわせて、今日まではかなり激しい動きとなるぞと認識しておく必要がありそうです。
東海東京調査センターは為替リポートの中で、足元で株高と円安の相関性が高まっていることを指摘している。年初からの日本株高に大きく寄与した海外勢はオーバーヘッジ気味に円売り傾向にあるとのこと。株高に伴うヘッジ比率低下を受けて海外勢が追加の円売
りを行うことで、さらなる円安につながることが想定されるとしている。東海東京では、株高が続く間は円安が進みやすい状況にあると捉えており、逆に株高が止まってしまえば、円売り圧力はいったん和らぐと考えているという。
モルガン・スタンレーMUFG証券では、日銀のマイナス金利の解除期待に伴うバリュー株相場のピークは過ぎたと考えているが、バリューファクター優位の展開は続くと予想している。
金融政策正常化期待、東証市場改革、新NISAなどがバリュー株の相対的優位を後押しするとみる一方、3年連続マイナスのグロース株は投資家が敬遠する可能性があると考えている。また、半導体関連銘柄がけん引してもグロース株全体が優位とならない日本株市場においては、グロース株は銘柄の選別が最重要と指摘しているぞ。
それからトルコリラのほうは、先日の消費者物価指数でインフレが進んでいることが確認されトルコリラ売りが加速している状況。ドルトルコでドルが買われ31.8台に乗せている。この感じだと数日で大台32に到達しそうですね。トルコ円はドル円の下落が加わって4.6円台を割り込んでいます。
ドル円が146円、ドルトルコが32になった場合、トルコ円=146円÷32=4.56円になります。
ドル円、ドルトルコがここまで行ってもなんとか4.5円台はキープできそうな感じです。ま、これ以上下げても高が知れている。
ここでトルコニュースです。エルドアンですがインフレを1桁に下げると演説したそうです。このみぎり国民のインフレにたいする不満にはさすがのエルドアンもヤバいよねと思ったようですね。
この感じだと、今月21日の政策金利で予想外の利上げが行わるかもしれませんね。ほら上げなあかんやろ。
メキシコ国立統計地理情報院が7日発表した2月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比4.40%上昇した。上昇率(インフレ率)は4カ月ぶりに低下。メキシコ銀行が21日の政策決定会合で利下げに転じる可能性が高まっているらしい。
ペソ円もこの一両日で0.1円以上下落して8.72円。リラ円の下落も合わせて、筆者口座維持率も2月中旬の1340%から1300%目前まで低下しています。
いよいよメキシコの季節が終わるのだろうか。筆者は7年前からのトランプに苛まれた4年間を忘れない。国境の壁に始まりNAFTAの撤廃などことごとくメキシコペソを貶めた。ペソ円はつねに5円台でうろつき遂にはコロナ禍で4.17円まで沈没した。
あの夜も眠れない悪夢が再現するのか。