ロック自叙伝 その69
ジミはベースのビリー・コックスとドラムのミッチ・ミッチェルを紹介した。
ミッチが「jimi hendrix」とイントルデュースすると大歓声と喝采が一斉に湧き起こる。
印象的なACDDの4連リフが始まる。
”Fire”は、短尺ながら仕掛けの多いファンクメタルだ。
「ミッチミチェルは天才ドラマーやなあ!」
俺はミッチがこれほど優れたドラマーだと思っていなかった。
「Jimiの曲のほとんどに彼がコミットしてるわ。」
アンジーによれば、Fireは「ソウル、サイケデリック・ロック、ポリリズミカル・ジャズにインスパイアされたドラミング練習曲」と評されているらしい。
「なるほど。若いのにジンジャーベイカー以上かな?」
「EricよりもJimiの方が難しいのは確かね。」
ジミは昨年末にエレクトリック・フラッグのバディー・マイルズとビリー・コックスのトリオ、バンド・オブ・ジプシーズを組んでレコーディングを開始した。
この史上最強のファンクバンドはジミとバディーマイルスの路線上の諍いから直ぐに空中分解してしまった。
そこでジミは自分の音楽にはミッチ・ミチェルが不可欠だと確信してミッチを呼び寄せたのだろう。盟友のミッチと陸軍以来の親友ビリー・コックスとのトリオが今の彼には一番アットホームなのに違いない。
ミッチ・ミチェルは子役タレントからスタジオミュージシャンになり、キースムーンが入る前のTheWhoのセッションにも参加していた。エクスペリアンスのオーデションでエインズレー・ダンパーとコイントスをして決まったらしい。ダンパーも凄腕ドラマーだがジミとの相性は保証出来ない。
因みにミッチはローリングストーン誌が選ぶベストドラマーの3位にランクしている。
「お前の炎のそばで立たせてくれ!」などと卑猥な表現に子供の俺は腰が引けるが、例のギターに火をつける光景が目に浮かんだ。
シェークスピアの文章から引用したと言う事だが、ノエル・レディンのママの家で起きたことが真相らしい。
ジミヘンは子供の教育に悪影響があると、全米ユニセフ協会の標的にされている。