絞め技で落ちた際の活法 | 柔道が足りてない!

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昨今、柔道人口の減少が深刻みたいなので、皆様にちょっとでも興味を持って頂けるような柔道ネタなど書いて行ければと存じます。

先日受講したオンライン審判講習会の中で、絞め技で「落ちた(失神した)」際の活法についての講義がありました。

簡単に内容を紹介しますと、

・柔道で用いる活法には「総活」「襟活」「誘活」「下腿挙上活(仮名)」などがある。

・柔道の試合で選手が「落ちた」際にドクターが居合わせない場合は、主審が「総活」を施す。

・「総活」は、落ちた人の横隔膜を押し上げるようにして施す活法。



ちなみに活法とは、絞め技などで意識を失った人に「活を入れ」て目覚めさせる方法です。

よく、『昔の武術は「活法」と「殺法」から成り立っており、活法は治療法として柔道整復に発展、殺法は武道としての柔道に発展した。』的な説明を目にしますが、それを裏付ける古い資料は無く、比較的近代になって作られた俗説ではないかとの情報もあります。


ここで、なぜ絞め技で「落ちる」のか、ググってみました。

絞め技で頸動脈洞(けいどうみゃくどう)という部分が圧迫されると、血圧が低下する「頸動脈洞反射」という反射が起こり、脳幹への血流が低下することで失神に至る、というメカニズムのようです。

なので、絞め技を解いて脳幹への血流が回復すれば、意識も戻ると考えられます。

失神するのが上記の理由だとすると、活法として最も効率が良いのは「下腿挙上活」、つまり落ちた人の足を高く挙げて脳への血流を促進してやる方法ではないかと思われます。

一方、前述の「総活」は、横隔膜を押し上げる動作から判断すると、いわゆる窒息(呼吸が阻害された状態)からの回復を意図した活法と思われますので、脳幹への血流が阻害されて落ちた人を回復させる効果には疑問を感じます。


では何故、柔道の規定では「総活」が推奨されるのか?

真意は不明ですが、おそらく窒息で意識を失った場合であっても対処できるように、汎用性を考慮して「総活」を推奨している(名称に「総」が付くのは汎用性を表している?)、といった理由が考えられます。