外旋型の腕緘(うでがらみ) | 柔道が足りてない!

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昨今、柔道人口の減少が深刻みたいなので、皆様にちょっとでも興味を持って頂けるような柔道ネタなど書いて行ければと存じます。

一方の手で相手の手首を取り、もう一方の手は相手の肘の下を通して自分の手首を持ち、テコを効かせて関節を極める技です。
ちなみに「腕絡」ではなく「腕緘」と書きますが、柔道の前身でもある天神真楊流の技名称を踏襲しているようです。

相手の腕を外旋させて極める形、内旋させて極める形、伸展させて極める形などがありますが、柔道ではいずれも腕緘に分類されます。

今回はその中で、外旋型の腕緘について取り上げてみたいと思います。


腕緘(外旋型)
「固の形」で行う腕緘の形です。腕を外旋させることで、肘の内側を極めます。

 

他の格闘技では「V1アームロック」、「アメリカーナ」、「トップリストロック」などの名称で呼ばれています。

下記動画の前半で紹介されているのが外旋型の腕緘です。

 

横四方固で抑え込んだ状態からこの腕緘を狙うのが基本形ですが、コツとしては相手の脇を閉めさせるようなイメージで捻じり上げると、巧く極めることができます。

逆に、横四方固からの外旋腕緘から逃げたい場合、受は脇を開けるようにすると極まり辛くなります。


注意点としては、相手の肘の角度が90度ぐらいの状態で捻ると、相手の肩にトルク(捻じる力)が加わり、肩関節が極まってしまう場合があります(T型コルク抜きと同じ原理)。

ググって見つけたこちらの論文では、肘角度90度の外旋腕緘の場合、22人中14人は肩が極まったという結果が出ているようです。
柔道関節技の効果に関する研究:痛む部位について

柔道のルールでは、関節技で極めて良いのは肘関節のみなので、肩関節を極めた場合は厳密に言うと反則になってしまいます。

しかしながら、腕緘は
・一見、肘を攻めているように見えること
・極め方によっては肘を極める事もできるため、肩と肘のどちらが極まっているか判別が難しいこと
などから、実質的には肩が極まっていても反則を取られる事は稀で、扱いとしてはグレーゾーンとなっている印象です。

とはいえ、やはりルールで定められている以上、柔道で意図的に肩を極めるのは避けるべきでしょう。

ひとつのやり方としてはストレートアームバーの要領で、相手の肘を過伸展させて極める方法があります。この方法であれば肘関節のみを極める事ができます。

また、相手の肘の角度が鈍角になるような状態(一般的に120度ぐらいが良いとされているようです)で捻じることで、肩よりも肘の方が極まりやすくなるようです(バイオメカニクス等の分野に関しては当方全くの素人なので、原理は良く分かっていませんが笑)。