シャセリオー展 | アンクルコアラのブログ

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日本酒、ラグビー、美術展、日本古代史、その他ランダムに雑感を綴って行きます。気まぐれなので更新は不定期かも?

国立西洋美術館で開催されているシャセリオー展に行って来た。
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日本では勿論、母国フランスでも滅多に回顧展すら開催されることのない、忘れられた存在だが、その作品は素晴らしく、これまで観た西洋画展でも屈指の価値があると思った。

11歳の時に新古典主義の巨匠アングルの元に入門し、やがてドラクロワらロマン主義の影響を強く受けて師匠と袂を分かち、独自の画風を確立した。

確かに彼の作品はアングルとドラクロワ二人の影響を受けているが、二人を超えたことも間違いない。

この展覧会を機に、シャセリオーが世界的に再評価されて欲しいものだ。

ロマン主義を彷彿させる「アポロンとダフネ」。ギュスターヴ・モローらにも大きな影響を与えたことで知られる。
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シャセリオーはオリエンタリズムの画家としても有名だった。「コンスタンティーヌのユダヤ人女性」はその代表作。他の作品に描かれた女性もそうだが、モデルの目力が凄い。
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シャセリオー生涯の代表作であり、この展覧会のイメージキャラクターにもなっている「カヴァリュス嬢の肖像」。モデルは当時の社交界の花形だったらしいが、その眸は美貌と共に高い知性と強い意志を感じさせる。並の男では相手にされなかっただろう。
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私のイチ押しは「泉のほとりで眠るニンフ」。モデルは当時の社交界を席巻した高級娼婦であり、シャセリオーの愛人だったアリス・オジー。
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観ている者に、アリスに対するシャセリオーの愛情の深さを感じさせる、人間味のある作品である。

ちなみに奔放な言動でシャセリオーを翻弄するアリスの姿は、かの文豪ユゴーによって暴露されているが、この作品を観たら、周囲がどう思おうがアリスを愛するシャセリオーの喜びが感じられて微笑ましい。



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