2020東京五輪のエンブレムが白紙撤回となった。発表されたのが7月24日だから、僅か1か月強の短命に終ったことになる。
作者の佐野研二郎氏は入選の栄光から一転、どん底に突き落とされてデザイナー生命も危機に瀕している。
ベルギーの劇場ロゴに始まり、サントリーのトートバッグ、東山動物園、原案とヤン・チヒョルト展ポスターと、次第に雲行きが怪しくなり、エンブレム活用イメージ写真で個人のインターネットサイトからのパクりを本人が認めるに至って、とうとう命運尽きた。
エンブレムは仕切り直しで公募するそうだが、先行きは見えない。いっそのこと、亀倉雄策の1964東京五輪のエンブレムの「1964」を「2020」に変えるだけで十分じゃないかと思えるのだが。商標登録もJOCが行っているのではなかろうか?
しかし今の世の中、完全にオリジナルのデザインなんてあり得るのだろうか?人間の考えること、それ程違いはないのではないか?
ベルギーの劇場ロゴのデザイナーが、今回の五輪エンブレム取消しの報に接して勝ち誇っているらしいが、彼のデザインがオリジナルと言う保証もなかろう。
昔、五木寛之の小説に盗作狩りをテーマにしたものがあった。歌詞だったか詩だったか忘れたが、盗作と疑われた作品を巡って、オリジナルと称される作品をよく調べると、それもまた盗作の疑いがあり、どこまで遡っても「これぞオリジナル」との確証が持てる作品に辿り着かないと言うものだった。
意図した模倣と意図せざる模倣、これから益々厄介な問題となって行くことだろう。
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