昨日は毎週恒例、母の世話のために実家へ行った。この日の一番の仕事は、宛先人不在で郵便局留めになっている書留郵便物を取りに行くことだ。
何度か配達員がドアホンを鳴らしたらしいが、耳が遠いこともあるが、聞こえても我関せずを決め込んで、受取りに出てこなかったのだ。
今時は実の息子でも、母本人に代わって受取るためには手間が掛かる。我慢を重ねて郵便物を受取り、目的を果たした。
くたびれて家に帰ると、NHKスペシャル「老人漂流社会ー親子共倒れを防げ」が始まっていた。
要は生活保護を受けている独居老人の下に、職場をリストラされた息子が帰って来て同居を始めたのは良いが、働ける息子がいるために生活保護を打ち切られ、親子共々どん底に突き落とされるという、救いのない実態のドキュメントである。
出てくる息子達は皆、現役バリバリの地位を投げ打って親の介護に専念するのではなく、既に無職で収入ゼロ、生活は親の生活保護手当か年金頼みの、中高年パラサイトである。
それに年齢も64歳、56歳、45歳である。これから働こうとしても、無理というものである。
親の生活保護や介護施設入所のために、「世帯分離」という方法があるが、番組のキャプション「親子が一緒に住めない社会なんて」が表す通り、制作者はそのやり方に批判的である。
それならどうするのか?国や社会全体で手を差し伸べるべきという、NHKの好きな結論でエンディングとなったが、それを実現するには消費税率30%でも難しいだろう。
無論私ごときがソリューションを持ち合わせている訳ではないが、「家族」「同居」➡「あるべき姿」という固定観念を捨てることが必要な時代になっているのではないか。
「親の面倒を見る」「子供を呼び寄せて同居する」ーいずれも結構だが、社会に迷惑を掛けずにそれを実現する経済力があることが前提だろう。
世間の世話になるのであれば、家族のセンチメントは犠牲にせざるを得ないのではないか。それが真の親孝行と思うのだが、私の考えは間違っているのだろうか。
水仙の花言葉は「報われぬ愛」。記憶が3分と持たない親の世話をする者には、身につまされる花言葉である。
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