今朝の朝刊を見て面喰らった。私は読売と日経のニ紙を講読しているのだが、これまで両紙の論調がさほど食い違うことはなかった。
ところが昨日のシリア攻撃に関するオバマ大統領が発表した声明についての両紙の見出しは180度印象の違うものだった。
読売:米大統領シリア攻撃決断
議会に承認を求める
日経:米大統領シリア攻撃先送り
議会に承認を求める
もちろんニュースソースとなる大統領声明文は一つである。どちらも同じ内容を報道しているのだが、何故正反対の見出しが付くのだろうか?声明の要旨を見てみよう。
オバマはまずシリア政府による化学兵器使用が立証されたとして「人間の尊厳への攻撃」と断じ、「米国がシリア政権に対して軍事行動を取るべきだ」と決断した。(この文脈は読売の見出しがフィットする。)
ところが次のパラグラフで「武力行使の承認を、国民の代表である議会に求める。」と、自らの権限を議会に預けてしまった。その後のパラグラフで言い訳がましく「議会の承認がなくとも武力行使は可能だが、より一層の効果を・・・」と付け加えてはいるが。
議会の審議は9日以降という。この流れを見ていくと日経の見出しに軍配が挙がるように思うのは私だけだろうか?
声明の要旨は和訳であり、英語の原文のニュアンスが分からないので軽々に論じることは控えたいと思う。読売は「議会の判断はどうあれオバマの決意が変わることはない」と解釈して「決断」と見出しを打ったのかも知れない。それが正しいかも知れない。
しかし他のマスコミ報道でもニュアンスは分かれているようだ。ということは、やはりオバマのスピーチに不退転の迫力がなかったということだろう。
議会に下駄を預けたという印象を持たれたこと自体、建国以来の「強い大統領」のイメージを大きく損なったのではないか?英国のキャメロンが直前に議会で否決され、恥を掻いたばかりだが、キャメロンはあくまで議院内閣制における首相である。
首相気分の大統領オバマに高度な国際問題が捌けるのだろうか?実際武力行使に踏み切ったとしても、十分な成果を挙げるのは難しそうだ。
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