このシリーズはスピンオフ的なAVP作を含めて、
「プレデターズ」(2010)までは全部見ているのですが、
以降の2作は未見なので久しぶりの再会となりました。
初めて舞台が地球ではなく、
プレデターの獲物も宇宙で最も危険な生物となったので、
半端なく盛り上がる展開になっています。
プレデターの種族名がヤウージャということも今回初めて知りました。

一族の中でも小柄で弱いデクは、長である父に始末されそうになりますが、
兄クワイの命がけの行動によって脱出できました。
デクは自分の力を証明するため、
最も危険な生物カリスクを狩ってみせると決意します。
デクは血気盛んだけど実力不足な若者で、
凶暴なモンスターだらけの惑星で苦戦が続きます。
そこに助け舟を出したのがアンドロイドのティアでした。
ティアはカリスクの襲撃で下半身を失い上半身だけで巨鳥に運ばれてしまったのだと言います。
狩りに助っ人を使うのは不名誉だというデクを、
道具としてなら構わないでしょ、となんとか説得して運んでもらうことに成功しました。
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ティアは感受性豊かで同じタイプのアンドロイド・テッサを姉妹のように慕っています。
実は二人が所属しているのはウェイランド・ユタニ社が送り込んだ調査隊で、
目的は生体兵器化のためにカリスクを捕獲することでした。
ティアとテッサ以外のモブなアンドロイドは全部同じタイプで同じ顔です。
結局、人間として顔を出して演技している俳優は二人だけでした。
感情の機能を持っているのは動物の行動を理解する役割のあったティアのみです。
テッサは冷徹に社の命令を遂行するだけで、
任務の邪魔と判断すれば、ティアだろうがデクだろうが容赦なく処分を決定します。
テッサは自分が責任追及されそうなときには嘘の報告をしていて、
自己保身だけは人間ぽかったりします。
両極端な二役にエル・ファニングの演技力が発揮されていて、
特にティアは、この作品をけん引する魅力的なキャラクターになっていました。
ティアがテッサに化けようとするも失敗、なんて展開も楽しめます。
序盤には「ミッション・インポッシブル」のオマージュみたいな場面もありました。

余談ですが「トロン:アレス」「フランケンシュタイン」「ミーガン2.0」そして本作と、
人工の知能が人間を凌駕するほど高度なものになっていく作品が1カ月の間に4作もありました。
AIが身近になって捉え方が変わってきているのかもしれません。
デクはサイズは大型犬程度ですが戦闘力の高いモンスターにもなつかれます。
ティアがバドと名付けたこのモンスター、なかなか知能も高いようで
二人の会話を理解しているようにふるまったりします。
デクはバドを置いてけぼりにして旅を続けますが、
これはストーリー展開上の御都合だったことが後で判明しました。

バドはともかく、ヒルみたいな原始的イメージのモンスターが餌付けされてデクの命令を聞くようになるのは、ちょっと強引すぎる気がしました。
まあ頭を空にして楽しむべき冒険映画ということなのでしょう。
仲間の大切さを知ったデクが、新しいタイプのリーダーとして成長していく姿もこの作品の魅力の一つです。
さらなる展開を予感させるラストになっていて、
本国でもスマッシュヒットとなったようなので続編の可能性は高い気がします。
エル・ファニング続投も含めて期待しています。


