この10年ほどは「ぷしゅー」と酒びたりだった武田梨奈。
「室町無頼」(2025)でもアクション女優として健在ぶりを見せてくれましたが、
主演でのアクション映画は久々です。
綾(武田梨奈)は特殊急襲部隊(SAT)隊員でしたが、毎朝キャラ弁を作って娘の笑顔を見るために退職して穏やかな日々を送っていました。
刑事時代の後輩、咲良の弟、隼人が行方不明となりますが、
刑事事件として取り扱ってっもらえず、捜査を綾に頼み込みます。
弟を想う咲良にほだされた綾は、深夜から朝の支度を始める6時までという限定で活動を始めます。
アイデア的には面白いのですが、
タイムリミットサスペンス的なドラマの盛り上げはなくて、
ちょっと腰くだけに感じました。
隼人は闇バイトに手を出し、悪事に加担できずに逃亡したため、捕まって監禁されていました。
綾と咲良が隼人のアパートを調べていると、
闇バイト組織の手下が都合よく家探しに来ます。
綾は手下たちを叩きのめして、咲良の単独行動として警察に引き渡します。
スマホも押収しますが、警察に組織の内通者がいてデータが消去されてしまいました。
綾側にも警察内の味方がいて証拠品のスマホを盗み出させデータを復元します。
ちょっとご都合主義的な展開が気になりますが、まあそこは目をつむりましょう。
ただ低予算映画にはよくあることですが、妙にワンカットが長いため、
サスペンス・アクションとしてはテンポが悪くなってしまっています。
76分と短めの作品なので、
刈り込んでテンポを良くしたら短くなりすぎるということかもしれません。
低予算映画のつらさが感じられます。
格闘アクションも武田梨奈本人は頑張っていますが、
「ベイビーわるきゅーれ」(2021~)シリーズや「ゴーストキラー」(2025)のように、
インディーズ製作でもアクション演出・編集に秀でた作品が生まれているので、
本作はアクション演出に不慣れと感じられ見劣りしてしまっています。
深夜の活動ということからかバトルシーンが、暗い画面の中で展開するのもマイナスとなっていました。
特に最後の戦いは敵の人数が少ないこともあって、意外と盛り上がりません。
綾がかなり痛めつけられていてメイクでちょっとごまかすレベルではなさそうだったのに、
家族が気がつかないのも不自然でした。
一発顔を殴られて激怒した綾が、大勢の敵を瞬殺でなぎ倒していく、
とかしたほうが盛り上がった気がします。
警察の内通者が正体不明のまま野放しで終わるのも、
作る側は凝ったつもりかもしれませんが、
観ていてスッキリせずもやもやしてしまいました。