王政復古を狙う謀略と闘う「少林の鉄爪・鷹拳」 | 隅の老人の部屋

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原題;Shaolin Iron Claws
製作年;1978
監督;クツ・シホウ
脚本;リュウ・サンポ
音楽;チョウ・フーリャン
出演;ウォン・タオ、サイモン・リー、チャン・イー

(ネタバレあり)

少林寺とは関係ないストーリーで、「Hawk's Fist」の別タイトルもあるようです。

中国が中華民国として統一されたものの、
地方では軍閥が権勢をふるい、
新政府に従わず国民に圧政を強いていた。

中でも大軍閥の張元帥は王政復古を図り王座を狙っていた。
張元帥は各地の有力者に王政復古布告書の署名をもとめ、
従わない者は手下に暗殺させる。

民防隊ホウ隊長(ウォン・タオ)の友人ピンルン(サイモン・リー)が旅に出ようとしていた。
ピンルンは恋人のシャンシャンに家宝の宝石を託す。
ピンルンの送別会が行われている食堂で、
小悪党のト兄弟が盗みを働いて騒動となる。
駆けつけたホウ隊長は、ト兄弟から盗んだ書類を取り返す。
ホウ隊長は、盗まれた者たち二人の動揺ぶりに違和感を覚えた。

二人は書類を取り返そうと短刀で襲いかかってくる。
ホウ隊長は素手であしらうが、ピンルンは一人を斬り殺す。
書類は王政復古の布告書だった。

ト兄弟の姉スーシャンが民防隊を訪ねてくる。
ホウ隊長は今回怪我の功名だったとして、すでにト兄弟を釈放していた。
スーシャンはホウ隊長のことが好きで何かにつけて民防隊に顔を出している。

ホウ隊長は布告書の押収を本庁に報告するため使者を出すのだが、
使者は道中で暗殺されてしまう。
ホウ隊長も三人組の殺し屋に襲撃されるが軽く追い返した。

一方、町はずれに張元帥の特使が到着し、町の悪党チャンに指示を出し始める。
その夜、町で次々と暗殺が行われ、シャンシャンも襲撃された。
翌朝、あちこちで死体が見つかり、不安になったホウ隊長がシャンシャンの家に駆けつけると、
彼女は死体となっていた。
その光景を見たスーシャンは、ホウ隊長が殺したと思い込んでしまう。

チャンは町にホウ隊長が犯人だという噂を流し、ト兄弟にも町民をたきつけるよう命令する。
民防隊庁舎の前でチャンが率いる群衆が騒ぎたてる中、知らせを聞いたピンルンが戻ってきた。
ピンルンは、ホウ隊長がそのようなことをする人間ではないことを宣言し、真相究明を誓って群衆をなだめる。

ホウ隊長とピンルンは特訓を重ねる。
ホウ隊長は殺されたのが食堂で布告書を見た者たちだと気づいていた。
次に狙われるのは自分たちだ。

チャンは、ト兄弟に褒美を町はずれの寺院に置くと言って罠にかける。
ホウ隊長もト兄弟を問いつめようと寺院に向かう。
またしても殺し屋三人組が襲ってきた。
ピンルンも駆けつけて三人組を撃退する。
ホウ隊長は布告書の隠し場所を知るため、自分をすぐに殺すことはしないだろうと考えていた。

ホウ隊長はスーシャンを投獄する。
スーシャン本人にだけ作戦を伝えていた。
隣の房には食堂で逮捕した張元帥の手下が入獄している。

ビンルンが、チャンが燕子溝(エンツーコウ)に潜んでいると聞き込んできた。
ホウ隊長は単身燕子溝に向かう。
留守中に庁舎が襲撃され張元帥の手下は殺されてしまった。
鍵が掛かっていない留置場に入っていたスーシャンは暗殺者に戦いを挑むが、
返り討ちにあって命を落とす。

庁舎のオフィスでは家探しが行われていた。
ピンルンが賊を撃退、そこにホウ隊長も戻ってきた。
燕子溝はすでにもぬけの殻だったのだ。
布告書は別の場所に隠されていて無事だった。

チャンの手下は、ホウ隊長の不手際という噂を流し、隊長を失職に追い込もうと画策する。
ホウ隊長はついにチャンを捕縛するが、チャンは何者かによって投げナイフで暗殺されてしまう。
暗殺者を追うホウ隊長。一瞬で場所は町中から岩山に移動。
そこに殺し屋三人組が三度目の登場。
ついにホウ隊長は三人を倒すが、暗殺者には逃げられてしまった。

庁舎の前にト兄弟を始めとする群衆が抗議のため集まっていた。
ホウ隊長はト兄弟にスーシャンの遺書を渡す。
遺書には「災いの原因は全てお前たちにあります。私が死んでも会いに来ないで」と書かれていた。
遺体はすでに西山に葬ったという。

ト兄弟は姉の遺体にひと目でも会おうと墓を暴く。
棺に遺体はなく、布告書のみが隠されていた。
そこに張元帥の手下たちが襲ってくる。
ト兄弟は、そこに現れたピンルンに助けを求めた。
ピンルンは見事に賊を倒し、ト兄弟はピンルンに布告書を渡す。

そのときスーシャンが駆けつけてきた。

ホウ隊長の作戦で死んだふりをしていたのだ。
弟たちが、どういう行動をとるか試したのだという。
布告書もニセモノで、本物はスーシャンが持っていた。
ピンルンは張元帥が送り込んだスパイだった。
ピンルンはスーシャンから布告書を奪う。

ホウ隊長も駆けつけてくる。
隊長は、シャンシャンが死んだとき家宝の宝石を握っていたので、ずっとピンルンを疑っていたのだ。
ピンルンが出ることが多かったのも、布告書の警護が目的だったと推察している。
ピンルンの正体は、悪名高い暗殺者・飛刀だった。

闘いが始まり、ホウ隊長とスーシャンはピンルンが投げた短剣で負傷する。
その場を逃れたピンルンは特使のもとに向かう。
だが、その布告書もニセモノだった。
特使は、失敗したピンルンを四人の手下に処刑させようとする。
槍を使った闘いが展開、ピンルンは互角に戦うが、
特使が参戦してきたため倒されそうになる。

そこにホウ隊長が駆けつけてきた。
アクロバット的な動きの戦闘が展開する。
特使は高齢のわりに圧倒的な強さで、ホウ隊長ですらかなわない。
危うく倒されそうになったとき、復活したピンルンが特使に立ち向かう。
ホウ隊長は槍を手に取り特使を狙う。
特使がホウ隊長の動きに気づいて体を入れ替えたため、
槍はピンルンを貫いてしまう。
ピンルンは最後の力を振り絞り、特使にしがみついて自分から突き出た槍先で彼を刺し殺した。
倒れ込む二人。
ホウ隊長は友の死を、膝をついて悲しむのだった。

主人公に罪を着せて陥れようとする展開が結局その場限りで後に続かないとか、
予算が足りなかったのか同じ殺し屋三人組(しかも弱い)と三回も戦うとか、
突っ込みどころはありますが、
ショウ・ブラザースやゴールデン・ハーベストではないマイナー作品としては、
けっこうテンポよく進んで、わりと楽しめる作品になっていました。
格闘シーンも工夫が感じられて飽きさせません。

ト兄弟は、生活が苦しいわけではなさそうなので生来の犯罪者体質と思われ、
姉スーシャンの苦労は続きそうです。