映画感想 100m走をテーマにしたアニメ「ひゃくえむ。」(ネタバレあり) | 隅の老人の部屋

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誰よりも早く100メートルを走ることに憑りつかれた男たちを描く魚豊原作のアニメです。
原作は読んでいません。

小学生のトガシは生まれつき足が速くて負けたことがありません。
そこに辛いことを忘れるために辛い走りを続けるという小宮が転校してきます。
小宮は、がむしゃらに走るだけで速くはありません。
トガシは、そんな小宮に走り方をコーチするようになります。
再び転校が決まった小宮と競走したトガシは、小宮の猛ダッシュに追い抜かれ立ち止まってしまいました。

常にトップを走っていたトガシは、人の背中を見て走ったことがなくて、
それが逆トラウマとなっているように感じさせます。
一度追い抜かれると走り続けることができなくなるだけではなく、
スランプ状態に陥ってしまう印象を受けました。

高校生になったトガシは、スランプを脱せず引退するつもりで陸上弱小高に入学します。
そこには才能ある選手ではないけど陸上が大好きな浅草がいて、
彼女に関わったトガシは再び走り始め、
人数が足りない陸上部存続のため活躍します。

しかし別な高校で頭角を出し始めていた小宮との100m走で追い抜かれたトガシは再び立ち止まってしまいます。
このレースは雨の中での開催という設定で、雨にかすむ背景の表現が印象的でした。
精神的あるいは肉体的にダメージのある選手は輪郭がぶれたりとか、
表現方法に工夫のある作品だと思いました。

さらに年月が過ぎトガシは社会人選手なっています。
しかしスランプは脱せず、どうにか契約を打ち切られずに済んでいる状態でした。
一方、小宮は、絶対王者として君臨する財津とともに陸上界を担うトップアスリートとなっています。
トガシの会社には実力はありながら財津のため常に二番手となっている大ヴェテラン海棠もいました。

15年くらいに渡って頂点にいる財津は、ウサイン・ボルト並みの超人ということになります。
財津はエキセントリックともいえる変り者で、独特な発言を繰り返します。
彼だけでなく、それぞれの選手が人生哲学を持っていて語るのが魅力、
なのでしょうが私がスポーツにあまり興味がないせいかよく分かりませんでした。
むしろ部活で活躍する高校時代の展開が分かりやすくて単純に楽しめたくらいです。

ラストも走ることの陶酔感こそが大切というのは伝わってきましたが、
ハッキリさせてほしかったという気持ちもありました。
スポーツに打ち込んだことのある人たちには、もっと響く作品なのではないかと思います。

染谷将太出演作は今月3本目、年内にあと3本控えていて大活躍です。